[原始美術] 今から約3万年前に始まる旧石器時代後期になると、 「直接生活に必要だとは考えられないもの」、 つまり、美術的作品が現れるようになる。 それらは、洞窟絵画、岩陰彫刻、獣の骨に刻まれた線画などである。 《洞窟絵画》 洞窟絵画は、南フランスから北スペインにかけて、 約3万年前〜約2万5千年前の遺跡からいくつか発見されている。 例えばクニャック洞窟に描かれた山羊は、 結晶化した石灰を地に、赤い輪郭線でその特徴が確実に把握されている。 この時代の洞窟絵画が頂点に達するのは約2万年前〜約1万年前である。 その初期には輪郭線中心の単純な表現が多い。 しかし、中期になると、動物の毛の色に応じた明暗の使い分けなどによって、 表現力豊かな絵画が見られるようになる。 例えばラスコー洞窟に描かれたビソン(野牛)は、狩の様子が 的確に表現されている。 |