[メソポタミア美術] 現在の イラク共和国を流れる ティグリス川とユーフラテス川の領域を指すメソポタミアは、 世界最古の文明が開花した地方である。 すでに紀元前6千年頃から農耕社会が出現し、 住居がいくつも集まった農村集落では、 小麦の栽培と家畜の飼育が行われ、彩文土器(さいもんどき)が製作された。
この時代を代表する出土品のひとつに、彩文土器の皿がある。 イラン西南部でも紀元前4千年頃に入ると彩文土器が作られるようになり、 動物の頭や角を極度に強調したデザインが、 この地方の装飾の特徴となっている。
《シュメール美術》 メソポタミアの集落は次第に規模を拡大し、 やがて都市が形成され、商業が活発となり、 のちに楔形文字(くさびがたもじ)として発達する絵文字も出現する。 この時代の彫刻を代表する作品が、女性頭部像である。 都市には、しだいに宮殿も出現し、礼拝者像も出現し始める。 礼拝者像は彫刻による表現領域が拡大したことを物語っている。 その代表作には聖樹と牡山羊(おやぎ)がある。
《アッシリア美術》 メソポタミア北部のティグリス川流域を中心とするアッシリアは、 軍事力を背景にバビロニアを占領支配する。 これは、宗教・言語の分野でアッシリアのバビロニア化を進めることとなった。 しかし、美術に関しては、アッシリア固有の美術を展開したのである。
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