[初期キリスト教美術] 一般に、初期キリスト教美術というのは、 キリスト教の誕生から5世紀後半にかけて生み出された 東西キリスト教全体を指す。 キリスト教徒たちは死後の魂の救済を願い、 カタコンベの天井や壁の漆(うるし)の上に絵を描いた。 おそらく異教徒の目をごまかすためだろうが、 彼らは絵の構図やモチーフを同時代の異教美術から借りてきている。 3世紀のカタコンベ壁画では、十字架の形を象徴する錨(いかり)や イエス・キリストを意味する魚など、 信仰を間接的・暗示的に表明する単純なモチーフが大半を占めていた。 しかし、教会の体制が整うにしたがって、新約聖書や旧約聖書の物語など 死後の魂の救済を願うのにふさわしい 物語的主題が取り上げられるようになる。 イタリアの聖堂の壁には、星空に輝く十字架とこれを拝する使徒たちが 描かれている。 |