静電気の対処法


静電気を回避するための方法はたくさんあります。
その中で最も基本となる対策は3つあると思います。

@静電気を発生させない
A静電気を帯電させない
B静電気を放電させない

ではこれらの事を実現させるためにはどのような事が必要なのでしょうか?
最も有効な手段が二つ挙げられます。
ひとつめは周囲の環境の改善です。
私たちはこの静電気による『バチッ』とか『パチパチ』をよく冬になると感じますよね?
静電気と季節には関わりがあるのでしょうか?
実は静電気というのは気候や環境によって発生率が変わり、一般に気温や湿度が低い環境で発生しやすいと言われています。
真冬は乾燥している上、暖房によってさらに湿度が下がるので静電気が発生しやすいのです。
ではなぜ湿度が低いと静電気が発生しやすいのでしょう?
簡単に言うと

乾燥した空気は物体が電気を持ったとき電気の逃げ道をつくらない

からです。
具体的に言えば気温25℃以下、湿度20%以下になると静電気は発生しやすくなります。
逆に湿度が65%を超えると静電気は発生しにくくなります。
つまり、こういう条件を満たす環境を自らつくることで、静電気の防止ができます。
そしてふたつめは衣服の着かたです。
実は着ている服と静電気はとても大きく関係していて、静電気は衣服によっても発生に違いがあるのです。
そして、静電気は服の素材によって起こりやすかったり起こりづらかったりしますが、もっと重要な事があります。
それは『着合わせ』です。
服の素材には相性がいいものと悪いものがあり、相性が悪いと信じられないくらい静電気が発生しやすくなるので要注意です。
他にも静電気を防ぐための機器やグッズなど、様々な静電気の防止方法があります。
せっかくある方法はとことん利用しましょう。
また、特別なことをしなくても、静電気を防止するために誰でも簡単にできることだってあります。
では、それらを踏まえた上で具体的な静電気の対策を立ててみましょうか!


 その1 部屋における対策






まずは自分の部屋から静電気を消し去りましょう。
いくつか方法はありますが、1番はやはり湿度を保つことですね。
では、ひとつずつ項目をチェックしていきましょう。



◆1ドアノブを布でカバーする!
これでいちいちドアに触れる度にびびらなくてよくなります。



◆2部屋に洗濯物を干す!
柔軟剤を使って洗濯してみてください。
柔軟剤に含まれている界面活性剤という物質は水分と結びつくことで電気を逃がします。



◆3帯電防止剤を使う!
これを薄めたものをカーペットなどに吹きかけるとある程度の効果があります。
中性洗剤でも構いません。
また、歩いても静電気が発生しない(あるいはすぐに逃がす)マットなどもあります。
導電性シートは作業机などに敷くと、有効です。



◆4天気予報を活用する!
当たり前のことかもしれませんが、外出する場合はその日の湿度や温度の確認を忘れないでください。
それによっては様々な対策もできます。
特にすでに紹介した気温25℃以下、湿度20%以下の日は要注意です。



◆5電化製品に注意する!
今や家庭の必需品、テレビやパソコン。
しかし、これらの電化製品は静電気対策に最も必要なマイナスイオン(マイナスの電気)を奪ってしまいます。
使用しないときは電化製品の電源は切りましょう。



◆6定期的に霧吹をかける!
電化製品にまみれた場所では霧吹を使うと有効です。
霧吹は部屋に湿度だけではなくマイナスイオンももたらします。
1時間に数回でOK!



◆7加湿器を使用する!
どんな対策をしても部屋に湿度がなくちゃあ話になりません。
その点で加湿器の効果は絶大です。



◆8観葉植物を配置する!
観葉植物にはプラスイオンを吸収するというすばらしい力があります。
できるだけ葉っぱが大きいものを部屋に置いてみてください。


 その2 車における対策




車に乗る前や降りる時は静電気による不快感を経験することがよくあります。
それを防止、もしくは軽減させる方法を紹介します。



◆9手を地面に触れる!
車に乗り込もうと思ってドアに触れると、バチッと静電気が発生することがありますね。
これは自分に静電気が溜まっているために起こる現象です。
しかし、実はこれは簡単に解決できます。
自分の手をドアに触れる前に、一度地面につけるだけでいいのです。
この方法は接地(アース)と呼ばれています。
地面に触れている物体はたまっていた電気を逃がすことができる、ということを覚えておいて下さい。



◆10車は窓に触れてドアを閉める!
これは最終手段です!!
車のドアに触れないですみますね。



◆11ドアを開けるときは堂々と!
ドアを開けるときによくやってしまうのが、静電気を怖がって指先を恐る恐る近づけるやり方です。
しかし、指先は敏感なのでそれだとかえって痛みが増してしまいます。
ドアを開けるときは手のひらやこぶしを使うと比較的衝撃も少ないはずです。



◆12キーを先にドアに触れさせる!
車のキーなど、金属を先にドアに触れさせることで、素手で触って放電するのを防ぐことができます。


 その3 自分自身へ施す対策




静電気による不快感はほとんどの場合は人間が原因です。
つまり人体が電気を持たないようにすればよいのです。



◆13帯電列を活用して服を選ぶ
! 服は組み合わせが重要です。
そこで、下の図を活用してみてください。



どこかで見たことありませんか?
そうです。以前に学んだ帯電列ですね。(『学習編』『第七回 帯電列』を参照してください)
これは衣服の素材だけにしぼっていますが、見方は普通の帯電列とまったく同じです。
ここで注目すべきは 離れたもの同士ほど静電気が発生しやすいということです。
例えば対極に位置するアクリルとナイロンの組み合わせは最悪です。
これを見れば理想的な服の組み合わせが見つかるでしょう。
綿や麻などの天然素材はオススメです。



◆14静電気スプレーを使う!
静電気スプレーとは衣服のまとわりつきを防ぐスプレーです。
手軽な静電気対策として利用されています。



◆15静電気対策製品やグッズなどを利用する!
静電気を除去するキーホルダーやブレスレット、導電性繊維の服など様々なグッズがあります。
出かけるときは特にこれらのグッズが有効です。
例えば車のドアの開閉時の嫌な静電気を防止できる静電気除去キーホルダーなどがあります。
他にも作業するときの味方、導電性の手袋や軍手なども市販されています。
あるものはどんどん利用しましょう!



◆16革靴など、電気を通しやすい靴を履く!
靴を履いて歩くと、靴を伝わって体が帯電します。
しかも靴の底は静電気をうまく放電しないゴムのものが多いため、靴から伝わった電気が逃げることをせず、ずっと体に留まってしまいます。
実は靴に水を吹きかけるとたまった静電気が逃げていってくれますが、 わざわざそんな事しなくても電気を通しやすい靴を履けばいいでしょう。
本当ははだしが一番いいんですけどね。
また、導電シューズや導電スリッパなど、静電気がたまるのを防ぐ靴もあります。


 その4 その他の対策




他にも静電気を防ぐための道具などがあるので、一例を紹介します。



◆アースを利用する!
アースとは電気機器と地面とをつなぐ銅線などの導体のこと、もしくはその導体と地面とをつなぐことをいいます。
これは家庭の電化製品でも行われているポピュラーな方法です。
ただしアースは導体には有効ですが、帯電した絶縁体にはまったく効果がありません。
そのため、絶縁体の電気を取り除くのには『導電化』と呼ばれる方法が使われます。
『導電化』とは、絶縁体に導体を混ぜて導体にしてしまうという方法です。



◆帯電防止スプレーを使う!
スプレーには界面活性剤が含まれています。
これによって吹きかけられた物の静電気を逃がすことができます。
プラスチック工作の仕上げなどに使われています。



◆その他の機器を設置する!
他にもイオナイザー(静電気除去機)や除電器などの機器があります。
イオナイザーとは、マイナスイオンを大量に放出させるための装置です。
それによってイオンのバランスを保ち、物体の静電気状態を和らげて静電気を起こさせないようにすることができます。
除電器は空気イオンを利用して静電気を中和する機器です。
除電器は種類も用途も様々です。
考えて選びましょう。



◆避雷針
避雷針は雷が落ちるのを防ぐはたらきがあります。
避雷針は 雷雲ができると避雷針の先端にプラスの電荷が現れ、周囲の空気をイオン化します。
イオン化された空気のうち、 マイナスイオンは避雷針にひきつけられ地面に流れ込み、 プラスイオンは空へ昇っていき雷雲の中のマイナスの電荷を減らします。
雷はイオンの通り道をたどる傾向があるので、ちゃんと避雷針に落ちてくれます。
ちなみに、避雷針に落ちた雷が周囲に被害を与える心配はありません。


ここまでくればもう静電気の対策はバッチリです!!
自分にできることから始めましょう!

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