第二回〜帯電


前回は電気の種類を学びました。
今回は物体が電気を持つということについて解説したいと思います。
まずは次の図を見て下さい。


<原子の構造>

原子とは全ての物体を構成するもの、つまり物体そのものと思ってもいいです。
(詳しい説明は『ちょっと難しい話〜電気量保存の法則』にあります)
上の図を見ればわかる様に物体はみんなプラスとマイナスの電気を持っており、その量は同じです。
物体はこのふたつの電気のバランスが保たれる事で安定しています。
しかし、物と物が触れ合ったりこすれ合ったりすると安定が弱いマイナスの電気が片方からもう片方に移動します。
このことを帯電といいます。
また、物体が帯電した時に持つ電気の量を電荷、もしくは電気量といいます。
電気量の単位にはC(クーロン)が用いられます。
(1Cは1アンペアの電流が1秒間に運ぶ電気量の事です)
ふつう物体は正と負の電荷が等しく電気的に中性ですが、帯電したとき、
マイナスの電気が取られた方はマイナスの電気がプラスの電気より不足するのでプラスの電気を帯び、 マイナスの電気を受け取った方はマイナスの電気がプラスの電気より多くなるのでマイナスの電気を帯びます。
この帯電状態を静電気状態といいます。

<電子の移動の図↓>
              
T<↑物体が持つ電気の量は等しい>          U<↑こすり合わせたりすると・・>
              
V<↑片方の電子が飛び出してもう片方にくっつく>  W<↑それぞれ正、負に帯電する>

実際は帯電の仕組みはこのように単純なものではありませんが、わかりやすくするためにこうやって解説しています。
ここでいきなり実験をしてみましょう。
物体と物体をこすり合わせたら帯電するのか?
ということを確かめるだけの簡単な実験です。
用意するものははく検電器と塩化ビニル棒、毛皮です。
なんか簡単に言うな!っていう感じですね。
こういったものは学校の理科室へ行って先生に頼みましょう。
もちろん、わざわざそこまでしなくても読むだけで全然構いません。
あっ、実験に入る前に『はく検電器』について紹介しときましょう。
下の写真がはく検電器です。



見たことありますか?
もしかしたら使ったことのある人もいるかもしれません。
はく検電器というのは、物体が帯電しているのかどうか、帯電しているのならプラスとマイナスどちらの電気を帯びているのか ということを調べる器具です。
ちなみに表面と『はく』の部分は電気を通す物質でつくられています。
説明はこのくらいにして早速やってみましょう。

 実験3

まず塩化ビニル棒と毛皮をこすり合わせます。


<塩化ビニル棒と毛皮をこすり合わせる>

そしてこの塩化ビニル棒をはく検電器に近づけてみます。


<塩化ビニル棒を近づける>

すると・・


<はくが開く>

↑このように、はく検電器のはくが開くのがわかると思います。
はくが開いたということは塩化ビニル棒がちゃんと帯電していたということです。
どうしてそうなるのかは『第五回〜静電誘導』で解説するので、今はあまり深く考えずに「へぇ〜、そうなんだ」ぐらいに思っていてください。
また、はく検電器で物体がプラスとマイナスどちらの電気を帯びているのかを調べる方法も第五回で紹介します。
とりあえずこれで塩化ビニル棒と毛皮をこすり合わせると塩化ビニル棒が帯電したということがわかったわけです。
今回の実験は『実験編』『実験3 はく検電器と静電気』にも載せられています。
あとでこちらも見ておいてください。
今回のポイントです。

<POINT>  物体が持つ正負の電荷は等しい
        こすれあったり触れ合ったりした物体は帯電する
        帯電したときに持つ電気の量を電荷(電気量)という

さて、第二回もこれで終わりです。
次は電気の持つ性質について学びましょう。

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