ちょっと難しい話〜電気量保存の法則


さて、前回で静電気に関しての基本的な説明は終了しましたが、どうでしたか?
今回は少しだけ難しい話になります。
ここは無理に覚える必要はありませんが、まあ読めば大体わかると思います。
理解できなかったら読み飛ばしてもらって結構です。
そういう人は『第七回〜帯電列』から再開して下さい。
では、いってみましょうか。
まず本題に入る前に原子について説明させてください。
原子って何だか知っていますか?
この言葉自体は聞いたことがあると思います。
この『学習編』『第二回〜帯電』でも一度さらっと流したことがあるのですが、覚えているでしょうか?
原子とは物質のすべてに存在する非常に小さい粒子のことをいいます。
下の図を見てください。


<原子の構造>

中央にある球体は原子核と呼ばれています。
原子核は正の電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子とでできています。


<原子核>

そしてその周りをまわっているのが負の電荷を持つ電子です。
電子と陽子の電気量の絶対値は等しく、それは電気素量(e)と呼ばれています。
(電気素量は電気量の最小の単位で、1.602×10のマイナス19乗Cです)
さて、下図を見ればわかるように原子は本来、陽子と電子の数が等しいため中性です。
しかし、電子は簡単に外に放出されたり、外から取り込まれたりします。
電子が増えたり、減ったりした原子をイオンと呼びます。


<原子の図>


<電子を受け取った方を陰イオン、電子を失ったほうを陽イオンと呼ぶ>

物体が帯電する原因となっているのがこのようなイオンや電子です。
(導体が電気を流すのも、実はこのイオンや電子のおかげです)
そして、他の物体と電子やイオンのやり取りをして、電子の数が陽子より多いか少ないかの状態のものが帯電している物体というわけです。
つまり、電荷の移動は電子やイオンの移動で起こるので、 帯電体どうしが電気をやり取りするときはその前後で電気量の総和は変わりません。
これを電気量保存の法則といいます。
さて、今回の内容はこれで終わりです。
どうだったでしょう、一応は理解できましたか?
もしかしたら静電誘導のほうが難しかったかもしれませんね。

<POINT> 電気量保存の法則・・・電気のやり取りの前後で電気量の総和は変わらない

では、次は第七回です。
次回はこれまで学んだ内容を日常生活に応用していきます。

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