生い立ちを考える

富士山は数十万年前に小御岳として活動を始めました。その後大量のスコリアや火山灰を降り積もらし、どんどん高い山となり新富士火山に突入しました。(→富士山ができるまでを参照)
新富士火山になってからは、古富士火山とはかなり活動の様子が変わり溶岩を大量に流すようになりました。また、マグマを噴出する場所が一定ではなくなり、たくさんの火口ができました。新富士火山の活動から火山活動が激しくなり、5つのステージに分けられるようになります。

          

「ステージ1」は1万1000年前から8000年前までで、この時期には大量の溶岩が噴出し始め、現在のような円錐型の美しい火山体を作り始めました。
「ステージ2」は8000年から4500年前までのことで、小規模な噴火を繰り返し、黒くて豊かな土壌を作りだしました。この土は「富士黒土層」と呼ばれます。
「ステージ3」は4500年前から3200年前までのことで、この時期は山頂から溶岩を頻繁に繰り返し、現在のような円錐形の火山体を完成させました。
「ステージ4」は3200年前から2200年前のことで、この時期には爆発的な噴火もしばしば起き、火砕流も発生しました。この時期に標高の高い東斜面が山体崩壊し、大きななだれが起きました。これは御殿場岩なだれと呼ばれています。また、ステージ4の終わりには最後の山頂噴火が起き、以後は山腹噴火しか起きないようになりました。
「ステージ5」は2200年前から現在までであり、今後の噴火を予測する上で最も大切なステージになります。ステージ後の噴火は、基本的には山腹にできていますが、研究者の中にはステージ5に含まれる火山のうち11世紀以降のものは、いずれも標高3000m以上の位置にできていることから、山腹噴火の時期は終了し山頂噴火を起こす新しい時期に入りつつある、と考える人もいるのです。

よって、富士山の生い立ちから考えると、宝永噴火から300年、これまで通りステージ5の山腹噴火を起こすのか、もしくは新たなステージ6に入り山頂噴火を起こすのか、予断を許さない状況であります。ですが、ここからはっきりと言えることはどちらにせよ富士山の噴火は迫っているという事実です。

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