イルカやクジラが砂浜に打ち上げられたり、いちどに大量に死んだり。
カナダでは、1970年には5 千頭いたシロイルカが、現在では1 割にまで減少している。
そういったことが起こる原因には様々なものがありますがその一つに、化学物質の影響があります。
1960年代に調べた時は、イルカやアザラシなどの8種類の海洋哺乳類からわずか5種類の化学物質しか検出されなかったのに対し、30年後の1990年代には、50種類の海洋哺乳類から、なんと265種類もの化学物質が検出されました。
つまりイルカやアザラシなど、様々な海洋哺乳類が有害化学物質に汚染され、現在では生産禁止の危険な有害化学物質さえ、未だに彼らの体内に蓄積されている事になります。


私たちの体内にも少なからず有害物質は蓄積しています。
それは、普通の生活を送っていれば、よほどの量じゃない限り、ほとんど体に支障はありません。

しかし海の動物は陸の動物と比べて有害物質を分解する肝臓の働きが弱く、有害物質が体内に溜まりやすいのです。 海の動物のなかでも、この有害物質を分解する能力が極端に弱いのが、イルカクジラなどの海洋哺乳類なのです。

体内に蓄積する有害物質は、その子供にも受け継がれます。
なんと、お母さんイルカの体内に残留している約60%もの有害化学物質は、子供に受け継がれてしまうのです。
中にはその90%以上が受け継がれてしまう有害物質もあります。

たとえ今、有害物質の排出が減少し海の汚染が軽くなったとしても、お母さんイルカから受け継がれた有害化学物質はそのまま残り、やがて彼らの赤ちゃんにも引き継がれていきます。

海洋汚染は様々な方向から生物に影響を及ぼすため、対策が非常に難しい。

有害物質は一度は取り込んでしまうと、体から出ていきにくい。

そして、遺伝により、後世にまで影響を残してしまう。

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