補聴器



またとある日…

私は、奈緒と悠輝くんと話をしていました。
突然、何かを喋っていた悠輝くんが、口を止めます。

「なぁ、何か聞こえない? ピーって機械音…」

奈緒に向かって、何か喋っています。

奈緒は、それを聞いて、私に合図してきました。
彼女は、耳に指をあてています。

"あっ…"

私は、補聴器をつけなおします。
そう、その悠輝くんがいっていた、機械音は、補聴器が外れたときに鳴る音だったのです。

" ありがとう"  きちんとお礼は、忘れずに。

それを見ていた悠輝くんが
不思議そうにしています。

奈緒が説明してくれます。

「補聴器が、外れてたら、あんな音がするの。
 そのままだったら、何も聞こえないから、気づいたら教えてあげてね。」

私の場合、補聴器があるからと言って、はっきりと音が聞こえるわけではありません。
どのように話しているのかとか分かりませんが、かといって、補聴器がなければ、困ります。

補聴器がなければ…
友達が名前を呼んでくれても、分かりません。
先生の話が聞こえません。
妹の凛が泣いていても、全く分かりません。
でも、補聴器があれば分かります。

私たち、聾者にとって補聴器がとても便利なものなのです。




ありがとう




      

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