点字 4



そう言って、レイは点字の打ってある紙を渡してきた。
スピードはまだ遅いので、ゆっくり読んでみる。

『みやもとくん、 わたし おとこのひとと こんなに きがあったのわ、
みやもとくんが はじめてだよ。
みやもとくんと いっしょにいると、 すごくたのしい。
もっとたくさん いろんなこと はなしたかった。』

………?過去形……?

『でもわたしわ おとーさんのしごとで とおくにひっこさなきゃ いけなくなったの。』

ひっこさなきゃ、って……引っ越さなきゃ……!?
え……!?

バッと手紙から顔をあげると、レイはうつむいていた。

『みやもとくん、 すごくすごく、 みじかいあいだだったけど ありがとー。
   レイより』

「読めた?」

「読めたよ……」

「すごい、本当に覚えてくれたんだね! じゃぁ分かったよね………今日で最後なの」

「そんなことには、させない」

「え………?」

「俺、お前のために本当に真剣に点字覚えたよ。
だから、これ…………」

俺は、点字を打った紙をとりだして、レイの手に握らせた。

「携帯用点字器買って、手紙書いたんだ」

「ありがとう……読むね?」


     

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