はじまり 2
「うん、久しぶり。会いたかった……かも?」
レイはそう言って、ちょっと照れて笑った。
「うん……俺も」
つられて照れてしまう…。
「…………」
「…………」
沈黙。
俺は、用意してあった紙を握り締めた。
この紙には、ずっと……ずっと言いたかった事が書いてある。
「レイ……!」
「?」
「これ、読んで。
直接渡して、目の前で読んでほしかったんだ」
「分かった……」
『おれは おまえのてがみが くるのが まいかい たのしみだった。
それで、わかったんだ………』
「レイ、俺は、お前のことが好きだ」
俺は、そう言ってレイを抱きしめた。
俺はレイと出会って変わった。
思いやりの心を学び、点字を覚えたことで、レイの視点からの世界を見ることができるようになった。
でもそんな新しい世界も、まだ始まったばかり。
俺らの共鳴《sympathy》が、これから始まる―――。
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