出逢い 3
そんなこんなで、一緒に駅まで歩くことになってしまった。
「そういえば、まだ名前聞いてなったよな。
俺は宮本タクヤ。君は?」
「タナカレイ」
「タナカレイ…?どんな字?」
「知らない」
「え…?」
「生まれつき目が見えないの。
だから漢字とか分かんないんだよねぇ。ずっと点字だから」
「点字……?」
「うん、視覚障がいのある方用の文字だよ。
ほら、駅の券売機とかにポツポツしたの、あるでしょ?」
「あ、あれか!」
点字っていうのか。
でもあれ、覚えるの大変そうだな……。
そんな話をしているうちに駅に着いてしまった。
「駅に着いたよ」
「ありがとう!助かった〜」
「いえいえ。………楽しかった、俺もありがとう」
「ん…………じゃぁ、バイバイ」
「…うん、じゃあ」
レイは初めて会った時と同じように踵を返し、
白い杖を使いながら歩いていった。
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