具体例1 動物


ゲノム編集技術を用いて「筋肉量の多いマダイやフグ」と言った魚を作る研究が進んでおり、実用化前の段階まで来ています。
マダイは、成長して繁殖するのにかかる時間が、3年はかかるとされていて、その点がデメリットでした。そこで、早く成長するマダイ、また、筋肉量を多くして、供給量を増やそうという考えから、筋肉量の多いマダイを作ることにしたのです。
CRISPR/Cas9の技術を用いて筋肉細胞の増加を抑止する「ミオスタチン」という物質に欠陥を与えることで、筋肉の増加を促し、結果的に身の量を増やすことに成功しました。
近畿大学や京都大学といったところで研究が進められているそうです。

家畜

アメリカでは、「角(つの)のない牛」、「病気に強い豚」の開発がなされています。
この研究がなされることになったきっかけは、世界の栄養失調の問題について目を向けたことです。2050年までに、食料の生産を今の2倍にすることをモットーに、現在飢えで苦しんでいる10億人もの人々を助けたいという思いからなされたことです。

1.角のない牛
乳牛というのは、本来、角があります。それにより、牛同士が傷つけあったりして人間に危険が及ぼされることがあります。そのため、ある程度成長したら、角を切っています。しかしその過程で、人が死んでしまった事例もあります。
 このようなこともあり、「角のない牛」が必要とされました。
これまでも、角のない牛を開発しようと研究を行ってきた人もいました。しかし今までの品種改良だと、質の良い乳を作り出す性質と、質の良い肉を作り出す性質の両方が失われる可能性が出てきます。そうすると、品種改良の意味が失われます。
 そこで、角をなくす遺伝子をピンポイントで取り除くことを考えました。

2.病気に強いブタ
養豚家が最も恐れる豚の病気に「PRRS」というウイルスがあります。これは豚の感染症を引き起こします。1980年代に出現したこのウイルスは、世界中の豚に広がり、病気や死亡、流産を引き起こしています。これにより、養豚家の損失は年間6億ドル(現在の日本円にして660億円[1ドル110円で算出])に上っているという事態が起こっています。
 そんな危機を乗り越えようと、病気に強い豚を開発しようと、ある研究チームが立ち上がりました。この研究を行った研究チームは、CRISPR/Cas9を用いて、PRRSウイルスに感染しないような豚を生み出しました。
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