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ヒルを使った手術

1884年、ヒルの唾液から血液凝固作用のある物質が発見され、ヒルジンと名付けられました。ヒルが吸血対象を噛むときに分泌され、抗ヒスタミン作用血管拡張作用麻酔作用が現れ、血液の抗凝固作用を助長することがわかっています。

ヒルは歯で人の皮膚に穴を開け、唾液を通して抗凝固剤を注入します。ヒルは一度に20~45分間、一匹あたり約15mlほどの血液を吸います。また、医療用ヒルはハンガリーやスウェーデンから輸入されることが多いです。

1980年代に医療用ヒルは、再接着指や四肢、皮弁のうっ血に対して、対処が困難な場合の治療法として再度注目されることとなりました。Gordon氏らによると、うっ血を呈した再接着指7例に医療用ヒルを平均6日間使用したところ、6例で再接着に成功したといいます。

医療用ヒルは、欧米の手の外科センターで使用されており、日本でも札幌医大、東京手の外科センターなど多数の施設で使用されています。アメリカ合衆国では2004年に医療用ヒルがFDA(アメリカ食品医薬局)に認可されました。医療用ヒルによる治療は、他の治療法と異なり、非常にゆっくりとした出血が長く続き、標的組織の循環が急に変化せず、全身的な抗凝固療法などに比べて輸血を回避することができます。また、ヒルの噛み口による傷は他の治療法に比べて組織障害が少ないという利点があります。

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