食糧問題と昆虫食
はじめに、昆虫食の機能性について説明します。
事実、コオロギが一定量のたんぱく質を生産するために必要な水は牛の 1/5500
CO2 排出量は牛の 1/1800 エサの量も 17%です。
※1
※メンバーが作成
上記は、主な畜産動物とコオロギの生産効率の図です。
コオロギが飼料変換効率(体重を1kg増やすのに何倍の量の餌が必要か)・可食部位の多さで他の畜産動物を上回りながら
可食部位に含まれるたんぱく質量でも劣らないことは、
コオロギが効率の良いたんぱく源であることを示しています。
また、
鶏肉は比較的効率の良い食肉であるのに対して、
豚・牛の効率が
悪いことがわかります。
※メンバーが描画
「未来の食糧問題に、未来食の昆虫食」などと言われることもありますが、
食糧問題も昆虫食も、今、現実にあるものなんです。
未来の食糧危機の回避も、現在の食糧問題を解決することから始まると私たちは考えています。
現在の話をしましょう。
食糧生産は人類全員を養える分ある一方で、推計8億2,000万人
※2が飢餓で苦しんでいる。これが現状です。
苦しんでいる人がいる裏で先進国を中心に年間約13億トンのフードロス
※3をしているし、効率の悪い牛肉豚肉をたくさん食べています。
現在の食料問題は、
豊かな人々は浪費し、
貧しい人々は困窮するという、歪な社会構造から生まれているのです。
※メンバーが描画
例えば、我々が牛豚を食べるのをやめて全部鶏肉にすれば、
その分貧しい国・人に食料が回りやすくなります。
しかし、鶏肉だけでは飽きてしまいます。
そこで、
昆虫食が活用できるのではないでしょうか。
昆虫は変温動物であるため、多くがブロイラー並かそれ以上の飼料変換効率である上に、
種によってナッツ、魚、梨に似ているものなど様々な味があります。
さらに、今では捨てられている食料からも虫は育てることができます。
既に豚で同様の取り組みが行われていますが、飼料変換効率の関係上、虫の方が効率が良いです。
これは
フードロスの軽減につながります。
何十年も先を見ずとも、
昆虫食は可能性に満ちたものなのです。
もちろん、牛・豚肉を食べることを完全にやめるのは極端な話だとわかっています。
昆虫食の専門家の中にも、将来の人類は昆虫食だけで生きると考えている人はほとんどいません。
最も妥当な解決策は、
牛・豚肉から鶏肉、昆虫、その他の代替肉などに
少しずつシフトしていくことだと私たちは考えています。
その一端を担う昆虫食の普及のためには、人々が昆虫をおいしいと思うことが大事で、
そのためには一度食べてもらわないといけません。
なんとなく昆虫を食べたくないという人は多いですが、それは食わず嫌いのようなものです。
(なぜ食べたくないと思うかについては「
昆虫食普及の課題」というページで詳しく解説しています。)
このサイトを作るにあたって、何十人もの人に
昆虫を試食してもらいましたが、
「意外とおいしい!!」と言っていた人がほとんどです。
このサイトを見てくださっているあなたにもぜひ、勇気をだして一度食べてみて欲しいです。
それがきっと
昆虫食普及の土壌へとつながり、
飢餓のない世界へとつながります。
※1.出典
水:株式会社Gryllus
HPより。
二酸化炭素:Oonincx, D.G.A.B., van Itterbeeck, J., Heetkamp, M. J. W., van den Brand, H., van Loon, J. & van Huis, A. 2010.
An exploration on greenhouse gas and ammonia production by insect species suitable for animal or human consumption.
Table 4. よりAcheta domesticus(ヨーロッパイエコオロギ)のデータ
餌:FAO
Edible insects Future prospects for food and feed securityP.60 5.1 Feed conversion より
※2.出典:国際連合児童基金(UNICEF)「
緊急支援情報」
※3.出典:FAO「
世界の食品ロスと食料廃棄」