Section2. 競技

パラリンピック競技

夏季競技大会

アーチェリー、車いすテニス、車いすバスケットボール、車いすフェンシング、車いすラグビー、ゴールボール、5人制(ブラインドサッカー)、シッティングバレーボール、自転車、射的、柔道、水泳、卓球、テコンドー、トライアスロン、馬術、バドミントン、パワーリフティング、ボート、ボッチャ、陸上競技
これら22種目が2020TOKYOパラリンピックで競われた競技です。


冬季競技大会

アルペンスキー、バイアスロン、クロスカントリースキー、アイスホッケー、スノーボード、車いすカーリング
これら6種目が冬季パラリンピックで行われる競技です。

クラス分け

障がいの種類や程度に合わせてクラスを分け、公平な条件で競技を行うことができるようにすることを「クラス分け」といいます。団体競技では、選手の障がいの程度を「持ち点」として点数に置き換え、競技が行われています。

例)水泳「クラス分け」
①S②10
   ①泳ぎ方     S…自由形、背泳ぎ、バタフライ SB…平泳ぎ SM...メドレー
   ②障害の種類   1~10 身体障がい、11~13 知覚障害 14…知的障がい

代表的な競技

ここでは、パラリンピック競技のなかでも、有名な競技を絞って説明してきます。

また、パラリンピックはより公平性をきすため、オリンピックとは違ったルールが多くあります。みなさんにパラスポーツを楽しんで観戦してもらいたいと思い、ここでは、その例をまとめました。実際には、他にも、異なるルールがあります。自分の気になった競技があれば、是非、調べてみて下さい。

車いすテニス

・男女別のシングルスとダブルスでの4種目、男女混合のクアードクラスのシングルスとダブルス2種目が実施されています。

※クアードクラス…下肢だけでなく、まひなど上肢にも障がいのある比較的障がいの重い選手が出場するクラス



ルール

オリンピック:1バウンドで打ち返す。
パラリンピック:相手の球を打ち返す前に2バウントまで認められている。


車椅子ラグビー

・パラリンピック競技で唯一車いす同士がぶつかるタックルが認められています。
・男女混合で実施されています。
・頑丈な競技用車いすを使用し、ボールは丸い専用球を使用しています。
・障がいの程度に応じてそれぞれに点数が与えられている持ち点制の競技で0.5〜3.5点の持ち点が与えられ、4人の持ち点の合計が8点を超えてはならないルールがあります。

ルール

オリンピック:ボールが常に先頭になくてはならない。ボールを持った人が自分の体よりも前にボールを投げたり落としたりしてはいけない。
パラリンピック:攻撃方向にパスをしても良い。


車椅子バスケットボール

・男女ともに実施されています。
・コートの広さやゴールも一般のバスケットボールと同じ高さです。
・下肢などに障がいのある選手が、競技用車いすを巧みに操作しながらプレーします。
・障がいの程度に応じてそれぞれに点数が与えられている持ち点制の競技で、1.0~4.5点まで0.5点きざみでクラス分けされています。コート内にいる5人の合計は、持ち点が14.0点以内でなくてはいけません。


ルール

オリンピック:ドリブルをしている最中にボールを保持してしまったら、もう一度ドリブルをすることはできない(ダブルドリブル)
パラリンピック:ドリブルしてボールを持ち、またドリブルをすることを何度も繰り返すことができる。


陸上競技

義足、視覚障害、知的障害などさまざまな障がいが選手たち出場するため、クラス分けをされ順位を争います。

オリンピックとの違い
・視覚障害の選手の中でも T11(全盲)、T12(弱視)の選手はガイドランナーと走ることがあります
・オリンピックには存在しない種目である「こん棒投げ」があります。
 こん棒投げとは握力がなく、細いやりが握れない選手のために考案されたパラリンピックスポーツの投てき種目です


陸上競技でのクラス分け
競技種目
T…競争種目・跳躍種目、 F…投てき種目

詳しく説明すると…
T(東京2020パラリンピックで実施された競争種目、跳躍種目)では
  100m、200m、400m、800m、1500m、5000m、マラソン 走り幅跳びがある。
F(東京2020パラリンピックで実施された投てき種目)では
  やり投、円盤投、砲丸投げ、こん棒投がある。


障害の種類
障害の状態や種類に関しては11~70で分けられている。

11~14:視覚障がい、20…知的障がい、30~34:脳性まひ (車いす)、
35~38…脳性まひ(立位)、40 41:低身長 、
42~44:下肢機能障がい 下肢切断 (義足なし)
45~47:上肢機能障がい 、48:その他軽度の片下肢または両下肢の障がい  
49,,,その他軽度の片上肢または両上肢の障がい、51~57:脳性まひ以外(車いす)
58,,,その他軽度の下肢障がい(座位)、61~64,,,下肢切断(義足)
70:聴覚障害 

このようにたくさんの種類に分かれています。さらに、この障がいのクラス分けの中でも重症~軽傷などで別れています。
ちなみに重症のほうが数は低く、軽傷のほうが数が低いです。
例) 100mT11 と 100mT13では100mT13のほうが障がい(視覚障がい)が軽度


5人制サッカー(ブラインドサッカー)

・視覚障がい(全盲)のある選手がプレーする5人制サッカーです。
・フィールドプレーヤー4人はアイマスクを装着し、転がると音の鳴るボールをドリブルやパスでゴールまで運びます。
・フィールドプレーヤーではない残った一人(弱視or視覚障害がない人)は、ゴールキーパーをします。

ルール

オリンピック:オフサイド※がある。
パラリンピック:オフサイドがないため、敵陣ゴール前での「待ちぶせ作戦」が可能

※オフサイドとは

オフサイドポジションにいる味方にパスを出す、またはオフサイドポジションにいる味方が相手を邪魔したりボールに関与する反則のこと。



パラリンピックには採用されていない競技

パラリンピックには採用されていないパラスポーツも、沢山存在しています。

1-1)車椅子空手

海外の人がイメージする日本固有のスポーツといえば柔道や剣道などの武道です。
パラリンピックでも視覚障がい者の柔道などはメジャーであります。また、東京大会でオリンピック競技になることで注目されている「空手」にも、実は、座った状態で行う「車椅子空手」があります。
ルールは大会によって異なりますが、老若男女や健常者など問わず参加できることがこの競技の魅力です。

一般の空手と同様に「型」と「組手」の2種類があります。
「型」とは仮想の相手に対する攻防の技を一連の動きにまとめ、演武の美しさを競うもので、レベル別に「初輪」「二輪」「三輪」「四輪」「五輪」と呼ばれる5つの型があります。
「組手」は対戦型ですが、一般の空手とは違い、突きなどの攻撃技は寸止めがルールで、打撃を相手の体に当ててはいけません。 また、車いすに座っているため蹴りもできませんが、技の正確性やスピードが見どころです。

1-2)ブラインドクリケット

ブラインドクリケットはインドが強豪です。
一般のクリケットと同じ11人制で、転がすと音の鳴るボールを使用します。 実は、野球の原型となったスポーツです。
ちなみに、クリケットが盛んな国々には、身体障がいや学習障がいのある若い人たちを対象とした、卓球台でプレーする「テーブルクリケット」という競技もあります。

1-3)電動車椅子ホッケー

電動車いすホッケーは北欧を中心に人気があります。
天候を気にせず屋内でプレーでき、 プラスチック製の穴の開いたボールと、格子状のブレードがついたスティックを使って相手のネットにボールをゴールする競技です。この競技の国際統一組織であるIWAS Powerchair Hockeyには、現在22ヵ国が加盟しており、日本もその一員であり、様々な国で楽しまれています。


2)パラスポーツの国際大会は、パラリンピックだけではないのです!




まとめ

障がいの状態により細かくクラス分けされているので、同じスタートラインに立って、競技することができ、公平性が保たれていることを知りました。
また調べていて老若男女や健常者、障がいのある人などの垣根を越えてコミュニケーションが取れるスポーツがあるということを知り、改めて競技の素晴らしさを感じることができました。


陸上のクラス分けがこんなに多いのかと驚き、テニスも3つと言わずもっと細かく分ければ良いのに、と感じました。
一般のクラスに出ていいようなほど障がいが軽い人が握力が少し弱いという理由でクアードに残り、全く握力も利かず、動くこともままならないような人と当たり、勝ち進んでしまうこともなくなるし(アルフィーの場合はパラに出ることすら禁止されましたが)沢山のクラス分けがあるのはいいと思いました。

情報

上記の競技のより詳しい説明や大会の情報は、例えば、以下のような各競技の協会や連盟のホームページから確認することも出来ます。

一般社団法人 日本車いすテニス協会(http://jwta.jp/
一般社団法人 日本車いすラグビー連盟(https://jwrf.jp/
一般社団法人 日本車いすバスケットボール連盟(https://jwbf.gr.jp/
一般社団法人 日本パラ陸上競技連盟(https://jaafd.org/
日本ブラインドサッカー協会(https://www.b-soccer.jp/
全日本車椅子空手道連盟(https://jks.jp/wheelchair

参考資料

パラサポWEB
https://www.parasapo.tokyo/

日本パラリンピック委員会-競技紹介
https://www.jsad.or.jp/paralympic/sports/guide-top.html

オリンピック・パラリンピック まるごと大百科
監修 真田 久(筑波大学教授) 学研プラス



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