僕らの政治
ここまで、日本の投票意識が低いという問題について、選挙制度と政治参加の方法という2つの観点に基づき、日本と諸外国の体制を比較してきました。そこで、日本の政治参加の方法についてまとめ、投票に行くことのメリットや、行かないことで生じるデメリットを考察します。
政府が権力を行使する際に、有識者や一般関係者の意見を聞く公聴会は参加の機会が限られますが、署名活動や請願・陳情、そして集団行進などのデモ活動といった形での政治参加は、適切な情報を入手すれば一般の人でも参入できます。また、ニュースや国会中継などを通じて、内閣と国会がどのような仕事をしているか監視することで、次の選挙の投票先への参考にすることができます。
投票を行う一つ目のメリットは、投票することによって、自分の意思を国会に間接的に届けることができることです。なぜなら、逆に言えば、投票を棄権すると、一国民としての考えが国を運営するにあたって無視されることを容認してしまうことになります。すると、投票率が6割を超えている50代以上の中高年層の人々の意思がより尊重され、若者の期待にそぐわない政治が行われてしまう可能性が生じます。
第二のメリットとして、若者の投票率が向上すれば、政府に刺激を与えることができます。多くの若年層が内閣や特定の政党に不信感を抱いた場合、その政党は大きく議席を減らしてしまうからです。また、選挙期間中において、若者の関心を意識したアピールや政策の提示がなされるようになります。そうすると、政治がより身近な存在になり、関心を持つ人が多い状態が維持されます。
次に、行かないことで生じるデメリットを2点挙げます。一つ目は、先ほども述べた通り、中高年層の要望に沿った時代遅れの政治が行われる懸念から、今や近い未来の子どもが直面する少子化問題・高齢者支援のための税金問題の解決が不十分となりかねない点です。こうした問題が解決されない場合、高齢化社会において、若者の負担はますます増加し、苦しい生活を強いられる可能性があります。私たちやその次の世代が豊かな生活を送れるよう、政府にはこの問題に真剣に取り組んでいただく必要があります。
2点目は、政治的関心が低いまま成人し生活することによって、次の世代の子どもも政治に関心を持たなくなり、投票率がさらに低下する悪循環が発生することです。そして、選挙のみならず、民主主義という政治形態の存在意義自体が問われる状態になります。政治関心が薄いまま続々と成人している現在の状況を鑑みると、深刻な事態に陥るまで時間の問題といえます。したがって、社会の政治に対する意識を大きく転換させることが不可欠です。そのためにも、まずは一票を投じることから始めましょう!