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2. SASの再建                                                               >>SASトップへ

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1980年ごろ、SASは2年連続の赤字に悩まされていた。
その当時、航空業界では、不況になったら飛行機を売って、
目先の利益をとりあえず得るというのが普通だったんだ。
たしかにその場しのぎの対策としては、それが一番よさそうだよな。
でも、SASはそれをしなかった。彼らは、航空業界で最高の『サービス』を追及することで利益を上げて、
業績を黒字にもどそうとしたんだ。
このときから、サービス重視の企業へとなっていってるのね。
そうだね。そしてSASを『頻繁に旅行するビジネスマンにとって、世界最高の航空会社』にする、
という高い目標を立てたんだ。これは、年に何度も飛行機を利用するビジネスマンを、
一番安定したお客だと考えていたからなんだよ。
だから、ビジネスマンの要望にとくに応えられるようなサービスを提供すれば、
SASは今までにないような利益を得られるはずだと考えたんだ。そのための経営戦略を、SASは急いで立てはじめた。
でも、そんな早くに戦略って立てられるものなの?
たしかに難しいことだけれど、SASは、それを1年以内にやりとげんだ。
これは目標を高く、そしてはっきりと持ったことによって、
企業全体が『やってやるぞ!』っていう意識が高くなったからなんだよ。
あぁ。学校のテストなんかと一緒ね。先に『何点とるか』っていう目標をしっかりと立てると、
それを達成するための勉強のスケジュールは、結構簡単に立てられるもの。
そういうこと。さて、経営戦略の具体的な内容を見ていこうか。 当時SASが抱えていた問題の一つに、エコノミークラスでの割り引き運賃の利用者がものすごく多くいる、
というものがあった。
つまり・・・考えていたよりも少ない利益しか得られなかったってことか。
そこでSASは、新しく『ユーロクラス』というクラスを作ったんだ。
これはエコノミークラスの普通運賃の値段で、よりサービスが改善されたクラスのことだよ。
空港には、ユーロクラス専用のラウンジ(休憩室)を作ったり、チェックインにかかる時間を短縮させたり、
機内での飲み物や新聞、雑誌は無料で提供したりしたんだ。
本当にサービスに特化したクラスなのね・・・。
その評判をうけて、初年度2500万ドルの収益増を目標としていたSASは、
それを大きく上回る8000万ドルの収益増を達成したんだ。
そのとき、航空業界全体が赤字となっていたにも関わらず、ね。
それは・・・すごいな。
それに、これによってSASが得られたのは、実は利益だけではなかったんだ。
え?どういうことだ?
サービスを追求した経営によって、たしかなお客からの信頼と、質の高い従業員、
この二つもSASは手に入れたんだ。今につながる、とても大きな収穫だったんだよ。

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