第4章

ジョン・タイター

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<世界線移動によるタイムトラベル>
タイターは、エヴェレット・ホイーラー・モデル(エヴェレットの多世界解釈)量子力学の観測問題における解釈のひとつは正しいと発言している。
さらに、タイターは、「エヴェレットの多世界は、時間の異なる別の世界線であり、恐らく無限に存在する」といったような解釈を付け加えることによって、タイムトラベルの結果生じる矛盾、いわゆるタイムパラドックスタイムトラベルに伴う矛盾や変化の問題が解決されるとしている。
タイターは、それらの異なる世界線を移動することにより、タイムトラベルは行われると説明している。
例えば、過去にやってきたタイムトラベラーが自分の親を殺しても、自分がいた世界とは別世界の自分の親を殺したことになるので、そのタイムトラベラーが消滅することはないという。
同じように、違う世界線の自分自身を殺してしまっても、世界線が分岐するだけなので何ら問題は起きないと語っている。

タイターが「我々の世界」に初めてやってきたのは1998年だが、その時この世界におけるタイター一家に「2000年問題によって引き起こされる災害や混乱から逃れるため」引っ越しを促している。
(実際に一家は引越しをしたという)しかし、タイターの予想に反して2000年問題は大きな騒ぎとはならなかった。
この原因として、タイターは、自分が任務のために赴いた1975年の行動が影響している可能性がある、と家族に話していた。さらに、タイターの説明では、2000年問題の混乱が、後の核戦争に繋がっているということで、タイターのいた世界線と我々の世界線では、未来において大きなズレがあることが考えられる。

タイターの場合は、まず2036年から1975年にタイムトラベルし、そこから自分が生まれた1998年に飛び、2000年まで滞在したという。
この場合の1975年とは、2036年からの世界線のズレが約2%の世界であり、そこから未来へ遡行したために、タイターが訪れた1975年の同一世界線上の未来である1998年が、我々の世界である(つまり我々の世界線では、1975年にもタイターが訪れていた可能性がある)。
2036年をαとすれば、1975年の世界線はβであり、さらに、タイムトラベルしたタイターがいるために世界は分岐してγ(1975年)になった。
そこからさらに、1998年へ飛んだのでこの世界線はδということになる。
2%のズレはβの時点での話であるので、γおよびδを経て世界線のズレは大きくなっている。
これらの事案についてタイターは、タイムトラベルを行うことに起因して世界線が分岐するのか、あるいはタイムトラベルをする以前からその世界線は存在していたのか、という問題がタイターのいた世界でも議論になっていると説明している。

また、タイターが元いた世界線に帰還するためには、タイムマシンが往路にて収集した重力の測定データをさかのぼって帰還するとしている。
また、自分がもといた未来の世界線へ少ない誤差で帰還するためには、一度自分がやってきた時間・場所に戻る必要があるほか、潮汐力重力によって起こる二次的効果の一種が地球の重力に影響を与えている都合上、帰還するタイミングは一年に2回ある旨の説明をしている。
そのため、タイターが自分のいた未来へ帰るには、まず1998年に戻り、そこからさらに1975年に戻ってから、やってきた世界線に沿って時空をさかのぼる必要があるということになる。
しかし、全く同一の世界へ帰還できるわけではない。誤差は非常に小さいものの、そこは「良く似た別の世界」であることに変わりはないという。
世界線は無限に存在し、そのどれかにピンポイントで移動する方法が現在のところ見つかっていないためである(光速を超えない限り不可能であるとタイターは書き込んでいた)
確率的にはありえないほど低いが自分の望む世界にたどり着く余地はあり、タイターの世界では、ズレのない世界(つまり自分の世界と全く同一の時間軸上にある世界)にたどり着いたタイムトラベラーが存在するという。


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