TOP差異が生じる原因拡大する文明、深める文明





 現代において、民主主義や憲法、主権などといった概念の多くが西洋から生まれ、世界中へと広まったものです。このように西洋の文明が世界中に広まっていった背景には、西洋の文明が「拡大する」事を本質としているためであると考えられます。

 西洋は大部分が平地で、寒冷で乾燥した気候であるという地理的特徴を持っていて、これらは農業に対して大きな影響をもたらします。植物の多くは高温多湿の気候を好み、西洋で主食とされている小麦もそのひとつです。また、当時の農業は灌漑(かんがい)によって農地を作っていたため、安定した水の確保が欠かせませんでした。しかし西洋は平地が多いため大河が存在せず、内陸部では大量の水を安定して確保することができませんでした。これらの要因から、西洋は農業に適さない土地であるといえます。食料は国の発展に必要不可欠なものです。その食料を生産することに不向きな西洋の土地で文明の発展させるには、他の土地を手に入れて食料生産量の向上させるしかありませんでした。その結果、高い軍事力を持った国が他国を侵略し、領土を広げていく「帝国」が生まれたのだと考えられます。また、中世以降は食料だけでなく、資源を求めてアジアや南米にも進出するようになりました。


 一方、東洋文明においては、人々は黄河や長江といった大河の存在や、高温多湿の気候により、食料の心配をする必要はありませんでした。人々は大河の周辺に留まって国を形成し、豊富な食料の下で文明を発展させていきました。地理的環境に恵まれ食料生産に適していたため、東洋文明では移動することよりもひとつのことを極めていくことに重きを置くようになり、「深める」文明の本質となったと考えられます。



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