<2015.1.7チーム170236制作>

つちのこ 【槌のこ】

別 名 ツチンコ、ノヅチ(野槌)、ヨコヅチ(横槌)、オノコロヅチ(洞川)
出没地 野迫川村、東吉野村、十津川村、下北山村
容 姿 ○色は白黒く、網をきたような模様がある。長さ二尺五寸、胴まわり一尺位、尾の長さ三寸位である。(※1)
○たけは短く胴は太く、頭は1つでなく、尾は切れている。(※1)
○長さ2メートル以上もある蛇と伝わるところもある。(※2)
○のづちは蛇の一種で、ワラうちの槌のような形をしていて、体はまん丸く、人影を見ると転んできてかぶりつく。このノヅチを見ただけで、高熱を出して寝込んでしまい、弱い者は死んでしまうという。まだ、だれも捕まえた者はいない。(※4)
○愛宕神社の森には、2〜3年前までつちんこが棲んでいた。直径は12cm、長さ15cm、つちのような形をした動物で、細い尾があり、槌を転がすようにころころと転がる。ツチンコににらまれると、「み入る」と言って、その人は寿命が短いと言われている。伊豆尾の山にも棲んでいた。(※5)
出没方法 ○苗代を作る時期から現れ、横に転げ落ちてくる。たたいたところが全部口になってかぶりつく。ウサギほどの速さで走る。マムシより強い猛毒があり、かぶられるとその日に死ぬといわれている。(※1)
○見ただけで、1週間寝込んだ者もいる。(※3)
○栗の柄の鎌でたたくと一番よく効くので、草刈り鎌は全部栗の柄で作る。(※1)
事 例  樫原(十津川村)付近のある山は、南の方が藪になっている。そこを通った牛が突然、ドッテンバ〜ンとひっくり返った。どうやらつちのこのしわざだと言う。つちのこは、突然石ころみたいに転がってきて、丸くなって近づき、ぶつかってガブッとかぶる。(※2)
アクセス
下北山村(外部のページへ)
原風景
 
マムシが有力なつちのこのモデル?   ツチノコ共和国宣言の下北山村
【画像提供者】
松本勝典氏(電子メールメッセージにて許諾、2014年11月17日取得)
考 察 【性格・生まれてきた背景】
 ツチノコは、野迫川村、東吉野村、十津川村、下北山村などで伝えられており、丸太のような毒蛇という共通点があります。また、山の斜面などから「まくれてくる」という表現がよく使われていますが、転げ落ちてくるという意味の方言です。はたして、突然転げ落ちてきた丸太に驚いたのか、毒蛇の新種なのか、人々の探求心に火がついたみたいです。
【実体・モデル】
 色は白黒く網を着たような模様があるという特徴があり、獲物を丸呑みしているときの蛇やマムシがモデルとして考えられます。また、1970年代から、ペットとして飼われるようになったアオジタトカゲの仲間の容姿が、各地で報告されているツチノコに瓜二つで、何かしらの事情で野生化したものが、誤認されている可能性もあるようです。
【現在人との係わり・存在感】
 県内の下北山村は、平成元年4月に「ツチノコ共和国」の建国を宣言しています。ツチノコ探しが目的ではなく、村の活性化を目的に、ツチノコで村内外の人々の交流を図ろうというものだそうです。しかし、下北山村のホームページを見てみても、現在は当時ほどの盛り上がりはなくなっているように思えます。
参考文献 ※1)野迫川村史編纂委員会『野迫川村史』(S49.9.20.野迫川村役場)
※2)稲垣幸子編・松実直清語り『十津川むかし語り』(1994.7.1.四海書房)
※3)竹原威滋・丸山顯コ編『東吉野の民話』(H4.12.10.東吉野村教育委員会)
※4)大塔村史編集委員会『大塔村史』(S54.12.1.大塔村役場)
※5)東吉野村教育委員会『東吉野郷土誌』(S47.3.1.)