知的所有権

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このページの目次
知的所有権とは
アイディアは守られるのか
著作物を自由に使う事ができる場合
著作権の内容
(c)って何?
これからの教育とアイディア
アイディアは保護するべきか、自由にするべきか
提案
参考ホームページその他
英語版へ
子供用へ

知的所有権とは ページの先頭へ

 知的所有権は知的活動から生じるすべての権利です。この中には、著作権も、特許実用新案も全て含まれます。

アイディアは守られるのか ページの先頭へ

僕、ideeg!  これからの教育の中心となるべきアイディアは、実際に守られるのでしょうか?文化庁によると、著作物とは、ただ情報を羅列しただけではなく、「思想又は感情」を自分なりにオリジナルに表現したもので、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するものということです。
  では、例えば、新しい教育のアイディアを、ホームページで表現したとします。 これを、
(1)だれかが無断であたかも自分が書いたかのようにホームページ上に写した場合 
(2)誰かが無断でそのアイディアを元に新しい教育を行い、利益を得た場合
のこの2つの場合について考えてみましょう。 
 (1)の場合、これは、著作権法で守られている氏名表示権侵害したことになります。 氏名表示権というのは、著作者が自分の名前を作品につけたり、ペンネームをつけたり、匿名で発表したりなどを決める権利です。正しい引用の手順を踏んでいないので、引用にもならず、この行為は著作権法に違反していますから、裁判所に訴えることができ、著作権法で保護されるということができます。
 しかし、(2)の場合、これは、著作者の権利は守られません。なぜでしょうか?それは、アイディアは、特許もしくは実用新案の形で登録しなければ、権利として保護されないからです。
 この(1)(2)の例からわかるように、著作権は主に表現を保護する権利といえるでしょう。特許は、20年間保護されますが、申請に数年かかることもあります。実用新案は、6年しか保護されませんが、受理されたものの多くは認定されます。ただしどちらも申請が面倒なので、弁理士や弁護士などの専門家に頼んだほうがbetterです。

著作物を自由に使う事ができる場合 ページの先頭へ

 新聞、雑誌などの事例ではなく、個人の場合と教育上の場合を紹介します。一つ目は、私的利用です。つまり、家庭内で使用するために、著作物を自由に複製することができます。例えば、兄のCDをテープに録音して、聞くなどということは自由にできるわけです。ただし、デジタル方式の録音録画機器等を用いての複製は、著作権者に対し補償金が必要なので、注意してください。デジタル方式の録音録画機器等とは、MD、DAT、DCCなどです。
 もう一つは引用です。他人の著作物であっても、自分の著作物の中にそれを取り込むことができます。しかし、ルールがあります。つまり、自分の著作物が主で、あくまでも引用する著作物が従であり、引用する必然性があることや、かぎ括弧をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されていて出所が明示されている必要があります。
  学校教育の場合では、教材として、授業で使用するために著作物を複製することができます。教科書をコピーして、線を引いて説明を入れたプリントを配ったりできるのは、このおかげです。ただし、現在のところは、その授業を担当する者であり、しかも、必要部数となっています。ドリル、ワークブックを複製すると、せっかく作った意味がなくなるので、それはいけません
 そして、試験目的の場合の複製があります。高校入試にある作家の文を無断で載せても良いのは、この規定のおかげです。もちろん、事前にお願いすると、漏洩の危険性があるからです。しかし、模擬試験などの営利目的の場合はいけません。
  最後に、著作権者の死後50年経った著作物です。ただし、著作権者が分からないときや、会社が製作したものは発表後50年後です。太宰治などの作品が著作権が切れました。それらの作品は 青空文庫などで無料で読むことができます。
 それ以外は、どうすれば良いのでしょうか?それは、著作権者にお願いをすれば良いのです。このページを作る際も、許可を得て様々な資料を使用しました。

 
著作権の内容 ページの先頭へ

ここは、資料的意味合いが強いので、飛ばして読んでもかまいません。次の©って何?へのリンク
(1)著作者の持つ特権を保護する権利(著作者人格権)
公表権(著作権法18条) 未公開の著作物を公表するかどうかを決める権利
氏名表示権(著作権法19条) 著作物に著作者名をつけるのか、つけるならば、本名にするか、ペンネームにするかを決める権利
同一性保持権(著作権法20条) 著作物の内容や題名を著作者が望まない限り変えられない権利
(2)著作物の利用を著作者が許したり禁止したりする権利(財産権)...昔はこれと著作権が同一視された時代があり、版権というのはこの名残です。
複製権(著作権法21条) 著作物(主に文章)を形があるものとして再現する、つまり印刷、写真、複写、録音、録画などをする権利
上演権・演奏権(著作権法22条) 著作物(主に音楽)を上演したり、演奏することで、公表する権
上映権(著作権法22条の2)著作物(主に映画)を上映して公表する権利
公衆送信権(著作権法23条) 著作物(主にテレビ)を公衆に対して送信したり、公衆に対して送信された著作物を公にする権利
口述権(著作権法24条) 著作物を口から言葉や音として公に伝える権利
展示権(著作権法25条) 美術の著作物又は未発行の写真の著作物を原作品をもとに公に陳列する権利
頒布権(著作権法26条) 映画の著作物を公に上映し、それを複製して頒布する権利
譲渡権(著作権法26条の2) 映画の著作物以外の著作物をその原作品又は複製物のを譲ることで公衆に提供する権利(注一度著作物が適法に譲渡されると、譲渡権が及ばない)
貸与権(著作権法26条の3) 映画の著作物を除く著作物をその複製物の貸すことで公衆に提供する権利
翻訳権・翻案権等(著作権法27条) 著作物を翻訳したり、編曲、変形、脚色、映画化するなどの翻案をする権利
二次的著作物の利用に関する権利(著作権法28条) 翻訳物、翻案物など、二次的著作物を利用する権利
(3)実演等の利用を許諾したり禁止する権利(著作隣接権)
・演奏者の権利
録音権・録画権(著作権法91条) 自分の公演を録音・録画する権利
放送権・有線放送権(著作権法92条) 自分の公演を無線、有線問わず放送する権利
送信可能化権(著作権法92条の2) 自分の公演を端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信できる状態に置く権利
譲渡権(著作権法95条の2) 自分の公演の録音物又は録画物を公衆に譲渡する権利(譲渡権の及ばない場合は財産権の譲渡権と同じ)
貸与権(著作権法95条の3) 市販CD等の商業用レコードを最初の販売から1年間貸与する権利
放送二次使用料を受ける権利(著作権法95条) 商業用レコードが放送で使用された場合の使用料を(有線)放送事業者から受け取る権利
貸レコードについて報酬を受ける権利(著作権法95条の3) 貸レコード業者からの報酬を貸与権の消滅後、受け取る権利
・レコード製作者の権利
複製権(著作権法96条) 市販CD等の商業用レコードを複製する権利
送信可能化権(著作権法96条の2) 市販CD等の商業用レコードを端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信できる状態に置く権利
譲渡権(著作権法97条の2) 市販CD等の商業用レコードの複製物を公衆に譲渡する権利(譲渡権の及ばない場合は財産権の譲渡権と同じ)
貸与権(著作権法97条の3) 市販CD等の商業用レコードを最初の販売から1年間貸与する権利
放送二次使用料を受ける権利(著作権法97条) 商業用レコードが放送で使用された場合の使用料を(有線)放送事業者から受け取る権利
貸レコードについて報酬を受ける権利(著作権法97条の3) 貸レコード業者からの報酬を貸与権の消滅後、受け取る権利
・放送事業者の権利
複製権(著作権法98条) 放送を録音・録画及び写真にしたりして複製する権利
再放送権・有線放送権(著作権法99条) 受信した放送を再放送したり、有線放送したりする権利
テレビジョン放送の伝達権(著作権法100条) テレビジョン放送を受信して画面を拡大する装置(超大型テレビ、オーロラビジョン等)を使って公に伝達する権利
・有線放送事業者の権利
複製権(著作権法100条の2) 有線放送を録音・録画及び写真にしたりして複製する権利
再放送権・有線放送権(著作権法100条の3) 受信した有線放送を再放送したり、再放送したりする権利
有線テレビジョン放送の伝達権(著作権法100条の4) 有線テレビジョン放送を受信して画面を拡大する装置(超大型テレビ、オーロラビジョン等)を使って公に伝達する権利...等


 
©って何? ページの先頭へ

 日本では、著作物は、それを創作した時点で著作権が発生します。しかし、平成元年までは、アメリカでは、著作権は©という記号と、著作権者の氏名と、著作物の発行年を記載して、初めて保護されるという「方式主義」を採用していました。このことによって、日本人も、アメリカで本を出版する場合などは、©のマークをつける必要がありました。 それは、万国著作権条約という1952年に創設された条約で、日本のような©マークをつけない国の著作物も、©マークをつければ方式主義国で保護されるという取り決めがなされていたからです。 
 しかし、平成元年に、アメリカはベルヌ条約に加盟しました。これは、©マークがなくても、創作をすれば著作権で保護されることにしようという取り決めです。 この事によって、今後はアメリカでも、著作物は創作の時点で保護されることになりました。
 ところが、ベルヌ条約を結んでいるのは世界で124ヶ国しかありません。 残りの国の人が使う場合も考え、ホームページなどでは、©マークを表示するのが無難です。 Copyright,©著作権者の名前, 発生年, All Rights Reserved. このようにして、名前をローマ字で書くと良いでしょう。

これからの教育とアイディア ページの先頭へ

 理念へのリンク

アイディアは保護するべきか、自由にするべきか ページの先頭へ

 オンラインソフトの項目で見てきたように、例えば、Linuxの原作者であるリーナス(ライナスとも)・トーバルズ氏がもしも彼のプログラムを登録し、自分の知的所有権をこのソフトに求めたとします。すると、このソフトがここまで発展することはなかったでしょう。それは、アイディアの保護はなくなっても、1人アイディアに、他人がアイディアを盛りこめる自由さがあるので、アイディアがどんどん発展していったのです。これは、今までの大手ソフトメーカーの姿勢とは真っ向から対立しています。今後も、このようなソフトがふえるでしょう。
  しかし、もう一つの側面を考えなければいけません。つまり、アイディアを保護するからこそアイディアが生み出されるのです。例えば、アイディアを振り絞ってCDを出したとします。それが、海賊版として、他の会社から安く売り出されてしまえばどうなるでしょうか?アイディアを出すやる気がなくなってしまいますね。会社の研究所でも、会社が高いお金を出して研究者を雇って研究するよりも、他の会社の製品をコピーするほうがずっと安上がりです。しかし、それでは健全な成長や開発が進みません。そこで著作権法や特許法などの法律を作り、アイディア(知的所有権)を保護したのです。
 しかし、現在の日本ではアイディアそのものは保護されません。知的所有権が認められるには、表現したり、特許などを取る必要があるのです。

 
提案 ページの先頭へ

 最後に提案ですが、アイディアのための新しい権利を創設しましょう。つまり、著作権では、アイディア自体は全く守られません。特許権や実用新案では、権利が守られるのですが、申請に時間がかかり、非常に面倒くさいため、一般市民に普及しません。 
 そこで、アイディアの権利に関する法律を定め、(i)マークと発案者、発案年を表示することで、そのアイディアを発案者の意に反して使用することができないこととする。 そして、アイディアを手軽に登録できるようにして、登録しても、しなくても良いが、登録すると、「自分のほうが早く考えた」という人が出たときに、裁判のときに登録していない方が、自分が早く考えたということを証明しなければいけないという仕組みにします。
 これにより、アイディアを、だれでも、気軽に発案できるようになるでしょう。


参考ホームページ、その他

リンク集に登録済松田道雄先生・牧野呂蘭先生・松尾剛行「夢の種」
<http://page.freett.com/wock/index.html>

2001(2001年3月)

文化庁様「文化庁」
<http://www.bunka.go.jp/>

2001(2001年3月)


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