睡眠と健康

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このページの目次
動機
〜本論の前に〜 ノンレム睡眠、レム睡眠って?
本論Tなぜ人は眠るのだろうか?眠らないとどうなるのだろうか?
本論U睡眠はどんな効果をもたらすのか?
本論Vどういうときに眠くなるのか?
本論W良い眠りとは何か?
本論X睡眠はどう進化したのか?
本論Y未来の睡眠とは
まとめ
参考ホームページその他
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 動機 ページの先頭へ

 忙しい高校生活を過ごす中、どのようにすれば健康的な生活を送ることができるのかを知りたいと思いました。一般論としては規則正しい生活というものがありますが、それ以外にもっと大切なものはないかと調査していました。その途中で、人間は80年生きるとすればそのうちの30年は寝ているという事を知りました。こんなにまで長い時間眠っていると言うことが分かったことで、改めて睡眠が大切だと思いました。そこで、休養の中でもっとも大切な「睡眠」に焦点を当てることで健康的な生活を送る方法を模索しようと思いました。

〜本論の前に〜 ノンレム睡眠、レム睡眠って? ページの先頭へ

 これからノンレム睡眠やレム睡眠という言葉を使って説明をしますが、よく分からない人も多いと思いますので、この2つについて説明します。レムというのは英語で眼球運動(Rapid Eye Movement)という言葉の略で、眼球が眠りながらも動いている時期があることから名付けられました。それに対してノンレム睡眠は、名前の通り眼球運動をしない睡眠です。
 詳しく説明しますと、まず、ノンレム睡眠は深い眠りです。脳が眠っているので、体温が下がり、不整脈などが起こることもあります。しかしこの時しか脳は休むことができません。次に、レム睡眠は浅い眠りです。脳が活動しているので起きているのとそんなに変わりのない状態です。しかし、体が動かないために金縛りが起こったりもします。夢を見るのもレム睡眠の時です。レム睡眠には主に体を休ませる働きがあります。体温が下がらないので、ノンレム睡眠で下がった体温を高めることによって体温の極端な低下を防ぎます。ノンレム睡眠は、睡眠時間が短いときは眠りの深さを深くすることによって質で量を補えます。しかし、レム睡眠はそういうことができないので、睡眠時間が短いと記憶が定着しないという様に言われます。どちらの睡眠が大切かについては長い間議論が白熱してきました。しかし、どちらも大切だというのが本当のところでしょう。

本論Tなぜ人は眠るのだろうか?眠らないとどうなるのだろうか? ページの先頭へ

おやすみなさい  まず、人間は眠らないとどうなるのでしょうか。もしも眠らないとすれば、80年生きるとすれば、23年分の生活が余分にできる(1日に7時間寝た場合との比較)わけですから、得したような気がします。
 しかし、人間は19日しか起きる続けることができません。それは睡眠が体や脳を休める働きがあるからです。特に脳を休める働きは大切です。体を休めるなら体を横たえるだけでも良いのですが、脳は眠らない限り活動を続けます。犬を眠らせない実験をしたとき、半月でその犬は脳がスカスカになって死んでしまいました。この様なことを防ぐために、脳を休ませるため、本能的に眠るのです。
 それだけではありません。「サーカディアンリズム」も睡眠を取る理由に深く関わっています。サーカディアンリズムとは日周リズムのことで、朝起きて夜寝るというリズムを形成します。このリズムは、太陽が照っている昼間の方が活動しやすいことから生まれました。このリズムが人間をコントロールしているために人は朝起き、夜寝るのです。その上、睡眠中はエネルギーの消費が少ないことも睡眠を行う大きな理由です。もしも代謝率(どれだけ効率よくエネルギーを使えるか)が同じならば、眠らない場合、倍の食糧が必要になるといわれています。クマなどが冬眠をするのも、この理由です。

本論U睡眠はどんな効果をもたらすのか? ページの先頭へ

 単純な計算をし続ける実験で、1時間計算をした後1時間寝て、それから1時間計算した人は、起きてからの1時間の能率が寝る前の2倍近くに上がり、最終的には3時間ぶっ続けで計算し続けた人よりも2時間の合計の成績が良かったという結果があります。この様に、睡眠は脳を眠らせるために能率を上げたり、頭をすっきりさせる働きがあります。
 睡眠はストレスを緩和させる働きもあります。一説には夢を見ることで脳がストレスを解消する働きがあるというものがあり、夢を人間最大の娯楽という人もいます。新しいことを学ぶことは大きなストレスとなるので、その前に睡眠をとるとストレスを緩和させることで理解を助ける効果があるのです。
 睡眠は記憶を定着させるという説もあります。レム睡眠(浅い睡眠で、体を主に休ませる)中に、脳の神経回路をチェックして、不要な記憶を消し、有用な記憶を定着させる働きがあると言われます。暗記物は寝る前にというのは案外正しいのかもしれません。
 睡眠は、美容と成長にも良いそうです。22時から午前2時の間には、肌の交代が活発に行われ、成長ホルモンが出ます。この時間に眠っていることで睡眠が効果的になり、身長が伸びたり、肌がきれいになります。疲れも取れ易くなります。レム睡眠がほとんどの哺乳類の発達初期(人間で言えば赤ちゃん時代)にノンレム睡眠よりも頻繁に見られることからも心身の発達に一役買っていると思われます。

本論Vどういうときに眠くなるのか? ページの先頭へ

 自分の趣味に打ち込んでいるときや、テスト前日など、脳が興奮状態にあるときは睡眠欲求は減ります。しかし逆につまらないことをしているとき、やる気がないときなどの脳がボケーっとしているときは睡眠欲求が高まります。
 眠ってはいけないときに眠いということは、脳が気分転換を要求していると言うことです。そのようなときは、外の空気を吸ったり、体を動かすことによって気分転換をすると良いでしょう。しかし、睡眠不足から来る睡眠欲求は根本的には睡眠でしか補えないので、そんなときにはいつもより早く寝ましょう。

本論W良い眠りとは何か? ページの先頭へ

いい湯だな  良い眠りとは、疲れが取れ、かつ目覚めがさわやかな眠りです。
 まず、睡眠には夕食後の生活が深く関わります。夕食は、眠る3時間前には取っておきましょう。3時間前より遅く取ると、消化後の消化器官のリフレッシュの時間がなくなり、目覚めた後の食欲減退を誘います。夕食後に運動をする人は少ないので、満腹までとってもエネルギーとして有効利用できず、脂肪になるのが関のです。腹痛で眠れないなどと言うことをなくすためにも腹8分目、7分目を心がけましょう。夕食の内容は、カルシウムや脂肪が適度に入ったものにしましょう。カルシウムは気持ちのいらいらを沈め、悪夢をさける働きがあります。適量の脂肪には脳に入眠の効果のあると言われるホルモンを出させる働きをします。
 夕食後は、カフェインやニコチンを取らないようにしましょう。カフェインはコーヒー、紅茶、コーラなどに含まれ、睡眠を妨害します。寝る少し前に寝付きをよくするためのハーブティーやホットミルクがおすすめです。ハーブには、アロマテラピーで有名になったような鎮静作用や安眠作用があります。牛乳にも鎮静作用や安眠作用があるのでこのどちらかを飲めば安眠は間違いありません。
 12時には寝ましょう。それは、12時までに寝ると、入眠が早く、しかもすぐにノンレム睡眠(脳の睡眠)が始まるのです。これを通称「シンデレラ睡眠」と呼びます。そして、眠りについたらくよくよと今日のいやなことを考えるのをやめましょう。悪夢の原因になりますし、寝付きを妨げます。
 過去25年で平均睡眠時間は30分減少しました。この調子だと2100年には6時間睡眠が一般化するのではないでしょうか。100年で2時間睡眠時間が減る計算になるので3200年には睡眠時間が0分になるかもしれません。そんなことはないでしょうが、睡眠時間は、個人差が激しいもので、5%の人は短眠者(6時間未満)や長眠者(10時間以上)です。ですからある程度短くてもそんなに気にする必要はないのですが、寝過ぎても寝なすぎても万全な健康状態ではなくなります。自分のリズムをもって、睡眠時間を一定にすると良いでしょう。
 良い目覚めは、まず、頭をすっきりさせることです。

シャワーを浴びたり、日の光を浴びたりすると頭がしゃきっとして、体温が上昇始めます。そこで朝食を取ると十分に体が活動できるようになります。(読売新聞より。詳しい引用情報はここを参照
 昼間は、できれば小1時間程度のシェスタ(スペインなどで老若男女を問わず行われている昼寝)がとれれば良いでしょう。睡眠は疲れをとるのでその後の活動の能率がアップします。

本論X睡眠はどう進化したのか? ページの先頭へ

 明らかに外面に現れる睡眠の始まりは植物です。例えばカタバミやタンポポは朝開き、夜に閉じます。このような開閉はサーカディアンリズムによるものですが、閉じているときは活動が鈍くなっているので「睡眠」と言えます。
 動物になると睡眠は活動の停止という形で現れます。3億年前までには「原始睡眠」と呼ばれる状態が昆虫などで発生しています。原始睡眠とは筋肉の緊張がなくなり、活動が停止する状態です。2.5億年前にはレム睡眠が分離し、は虫類、例えばクサガメなどに心拍などが変化する「中間睡眠」が生まれました。そして2億年前、ついに哺乳類に今の睡眠である「真睡眠」が生まれました。
 マグロなどの回遊魚は、泳ぎ続けないと死んでしまうために眠りながらも泳ぐという芸当を行います。これは睡眠の進化の1つです。冬眠も睡眠の進化の一つです。恒温動物は外気温に関係なく一定の体温を保つので、外気温が「一定の体温」よりも低いと「一定の体温」に上げるためにエネルギーを消耗します。しかし睡眠中はその「一定の体温」が低く設定されるので「一定の体温」までに上げる際に必要なエネルギーが減るのです。そのため哺乳類などの恒温動物の一部は冬眠をすることで長い冬の間、何も食べずに生きることができるのです。この様に冬眠は冬の寒さに負けないための睡眠の進化の1つと言えます。

本論Y未来の睡眠とは ページの先頭へ

んんん...  未来の睡眠を「インディビジュアルな睡眠」つまり、個人がそれぞれの個性やライフスタイルに合わせて睡眠をとるようになると予測します。これは、未来には忙しい人は例えば休憩時間にノンレム睡眠を取るだけで一日中働いたり(マイクロスリープ化)、休みの日に寝貯めをしたりするでしょう。自分が生きている間に100年も200年も後の未来を見たい人はコールドスリープをしたりできるようにもなるでしょう。
 未来には、睡眠を決定的に司る物質が発見され、そのコントロールが自分でできるようになるでしょう。そこで、人間は「睡眠」をどのように取るかを考えます。その結果、それぞれのライフスタイルに合わせた睡眠が行われると予測するのです。その未来とはいつになるかは分かりませんが、2000年代(2999年まで)には現実になるでしょう。今の段階では、分眠(1日に何度も寝る)よりも、1日に1回寝るほうが社会にあっています。しかし、睡眠欲求の高まる2〜4時に、2時間の食後休憩タイムを入れ、寝たり、本を読むなど、リフレッシュの時間とする、その分、朝と夜に1時間ずつ睡眠をとるなどの、フレックススリープ制を取る会社がでても良いのではないかと思います。

まとめ ページの先頭へ

・ねむらないと大変なことになります。
・人は太陽のリズムに合わせて寝ているのです。
・長時間ぶっ続けて勉強しても意味がありません。睡眠を挟みましょう。
・8時間たっぷり眠れなくても、「もういいや、徹夜しよう」なんて思わずにホットミルクやハーブティーを飲んで寝ましょう。それだけでも違います。 
・起きたら、日の光を浴びましょう。
・能率を第一に考える会社ほどシェスタを取りましょう
よく遊び、よく学び、よく寝ましょう


参考ホームページ、その他

リンク集に登録済【引用情報】確保したい睡眠時間、光で体温リズム調整
【引用先URL】http://www.yomiuri.co.jp/life/medical/99011601.htm
【情報源】読売新聞
【引用許可の取得方法】読売新聞メディア戦略局事業部の方より電子メールメッセージにて取得。
【許可の取得年月日】2001年3月13日

リンク集に登録済小林功英様「生命はいつから眠るようになったか」
小林功英のホームページ
<http://www.educ.ls.toyaku.ac.jp/~s968024/sleep.html>

1999(1999年5月)

井上昌次郎氏『睡眠の不思議』
講談社現代新書,1988


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