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登場人物別台詞集その2(3〜7章)

お母さん
年老った女の人
学者

お母さん



「ああ、ジョバンニ、お仕事がひどかったろう。今日は涼しくてね。わたしはずうっと工合がいいよ。」
「ああ、お前さきにおあがり。あたしはまだほしくないんだから。」
「ああ三時ころ帰ったよ。みんなそこらをしてくれてね。」
「来なかったろうかねえ。」
「あああたしはゆっくりでいいんだからお前さきにおあがり、姉さんがね、トマトで何かこしらえてそこへ置いて行ったよ。」
「あああたしもそう思う。けれどもおまえはどうしてそう思うの。」
「ああだけどねえ、お父さんは漁へ出ていないかもしれない。」
「お父さんはこの次はおまえにラッコの上着をもってくるといったねえ。」
「おまえに悪口を云うの。」
「あの人はうちのお父さんとはちょうどおまえたちのように小さいときからのお友達だったそうだよ。」
「そうかねえ。」
「早いからねえ。」
「そうだ。今晩は銀河のお祭だねえ。」
「ああ行っておいで。川へははいらないでね。」
「もっと遊んでおいで。カムパネルラさんと一緒なら心配はないから。」
「ああ、どうか。もう涼しいからね」



年老った女の人


ケンタウル祭の夜

「いま誰もいないでわかりません。あしたにして下さい。」
「ではもう少したってから来てください。」



学者

北十字とプリオシン海岸

「そこのその突起を壊さないように。スコープを使いたまえ、スコープを。おっと、も少し遠くから掘って。いけない、いけない。なぜそんな乱暴をするんだ。」
「君たちは参観かね。」
「くるみが沢山あったろう。それはまあ、ざっと百二十万年ぐらい前のくるみだよ。ごく新らしい方さ。ここは百二十万年前、第三紀のあとのころは海岸でね、この下からは貝がらも出る。いま川の流れているとこに、そっくり塩水が寄せたり引いたりもしていたのだ。このけものかね、これはボスといってね、おいおい、そこつるはしはよしたまえ。ていねいに鑿でやってくれたまえ。ボスといってね、いまの牛の先祖で、昔はたくさん居たさ。」
「いや、証明するに要るんだ。ぼくらからみると、ここは厚い立派な地層で、百二十万年ぐらい前にできたという証拠もいろいろあがるけれども、ぼくらとちがったやつからみてもやっぱりこんな地層に見えるかどうか、あるいは風か水やがらんとした空かに見えやしないかということなのだ。わかったかい。けれども、おいおい。そこもスコープではいけない。そのすぐ下に肋骨が埋もれてる筈じゃないか。」
「そうですか。いや、さよなら。」






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