WHAT'S THE ENERGY?

■人類の夢・永久機関

ならば、エネルギーは永久に消えることは無いといえるでしょうか。

確かにエネルギーは消えませんが、それは別の力が作用しない中での話です。例にあげたピンポン玉の場合、外部の力がありました。空気抵抗や、地面に落ちたときの摩擦といったものです。実は先ほどの力学的エネルギーは非力学的エネルギーに変換されてしまったのです。(その非力学的エネルギーについては、次項の<熱と内部エネルギー>で詳しく説明します。)ですが、これらのような邪魔な物を完全に取り除くことは絶対にできません。そのためどんな力学的エネルギーを使用したシステムも、エネルギーの一部は別の非力学的エネルギーに変換してしまいます。もしこのようなエネルギーが外部の力によって邪魔されることなく永久に続く事は、物理学が根底から否定され崩れる事になるでしょう。

それでも、人々がエネルギー保存・変換の法則を破ろうと躍起になっていた時代がありました。同時にそれは人々の大きな夢でもありました。その夢とは永久機関を作ることです。永久機関とは燃料や筋肉の力など、外のエネルギーを全く使わないで休むことなく永久に働き続ける機関のことです。ラテン語でペルペトゥーム・モビーレとも言います。これまで沢山の人達が永久機関の開発に取り組んできましたが、誰一人として成功した者はいません。永久機関の存在はエネルギー保存の法則と矛盾してしまうからです。

無からエネルギーは生まれず、また力学的エネルギーは摩擦のため、利用することのできない別のエネルギーに変換されてしまいます。そのため、ペルペトゥーム・モビーレは実際にどれも動くことはできません。でも逆に摩擦がなければ、私たちは一生道路の上を滑り続けることになるでしょう。摩擦といった抵抗があるから、私たちは動くことだけでなく止まることもできるのです。   



≪PREV