ボッティチェリ

ビーナス誕生

受胎告知

 

受胎告知


 「受胎告知」とはキリスト教の新約聖書に登場するエピソードで、今から約2000年前、イスラエルに住んでいた未婚の女性「マリア」のもとに「大天使ガブリエル」と名乗る一人の青年が現れて「あなたは神の子を宿しました。」と告知する話です。ただ、この時マリアはまだ男性との性行為をしていなかった(処女)ため、子供を宿したと聞いた時とてもおどろきました。そして、ガブリエルは「その子は全知全能の神から授かった子なのだ」と説得し、その場を去りました。
 時が経ち、生まれた子は「イエス」と名づけられ、人類を救う救世主メシア=キリストとなるのでした。
 新約聖書の「福音」(イエスの生涯を弟子達が書いた物語)は「マタイ書」「マルコ書」「ルカ書」「ヨハネ書」と四つあるのですが、そのうちマリアが処女にして子を宿したという文は「マタイ書」「ルカ書」にしかなく、さらに天使による受胎告知を書いているのは「ルカ書」だけなのです。
 つまり、「受胎告知」はそれほど絶対的なものではないのです。しかし、多くの画家のインスピレーションを刺激し多くの「受胎告知」が生まれたのでした。
 また、受胎告知を描く時にはいくつかの決まりがあり

(1)
マリアは書物を読んでくつろいでいる。
(2)
大天使ガブリエルが現れ、マリアが神の子を処女懐胎したことを告げに現れる。
(3)
大天使はマリアの純潔のシンボル白百合(フィレンツェの花が百合であることも関係している)を持っている。
(4)
左に大天使ガブリエル、右にマリアがくる。

などが代表例です。
 ボッティチェリの受胎告知は、一般的に上の絵とされています。しかし、ボッティチェリは何枚もの受胎告知を描いており、現存するなかでは三枚の受胎告知が確認されています。しかし、正確な枚数はサヴォナローラが行った「虚栄の焼却」により分からないのです。
 ボッティチェリの描く宗教画では、マリアが全て赤系の色をした服を着ています。この「赤」という色は、天(神)からの愛をあらわすルビーの色なのだそうです。もちろん、ボッティチェリがそのつもりであったかは分かりません。そうなると背景の遠くに見える木について同じことがいえます。その木がレバノン杉としてボッティチェリが描いたならば、レバノン杉は香りが良く、美しい姿だから、聖書の中での美しい女性にたとえられたということも考えられています。


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