化 学 基 礎  第四講


4−2 物質の構成
 このページでは前ページでやったことを発展させていこうと思う。といっても、実際にやる内容は基礎なので敬遠しなくても大丈夫。

 まずは陽子と電子の関係から。
 この二つの物質は電荷という電気的性質を持ち、陽子は正電荷、電子は負電子という性質を持っている。正電荷と負電荷は互いに打ち消しあうため、通常原子は中世を保つ。前ページで「通常電子は陽子と同じ数だけ存在する」ことは学習した。
 ちなみに、中性子は電荷を持たない。

 次に電子について詳しく。
 各原子において、電子がどのように存在かを電子配置といい、前ページの画像はこの電子配置を表したものである。ちなみに、あの画像のような電子配置は存在しない。
 また、もっとも外側にある電子殻に収容されている電子を特別に最外殻電子といい、その電子殻がいくつの電子を収容できるかに関わらず、最外殻電子の数は必ず0〜7のいずれかである。(電子が0というのはあり得ないことだが、最外殻電子の場合のみ、電子が8個の時に0個と表記する。
 この最外殻電子の数は原子番号20のカルシウムまでは族に従い次のように増加する。(電子の総数も一個ずつ増えていく。)
 \族
周期\
13 14 15 16 17 18
H
1個
He
2個
Li
1個
Be
2個
B
3個
C
4個
N
5個
O
6個
F
7個
Ne
8個(0個)
Na
1個
Mg
2個
Al
3個
Si
4個
P
5個
S
6個
Cl
7個
Ar
8個(0個)
K
1個
Ca
2個

 希ガスのように最外殻電子が0個の場合を閉殻構造といい、この状態は非常に安定しているため、通常では他の原子と結合しない。
 なお、ヘリウム(He)が最外殻電子数2なのに閉殻構造なのは、ヘリウムは原子番号2、つまり電子を2つしか持たないため、ヘリウムの持つ電子殻は1番目の K殻のみだからである。前ページの式に当てはめると、2×1^2=2 つまり K殻は2個しか電子を持てないからである。

 次は最近よく聞くイオンについて。
 イオンとは、何らかの原因で電子の数が変わった状態のことである。先に「通常電子の数は陽子と等しい」と書いたが、実は電子は安定した状況を好み、閉殻構造になろうという力が働く。通常ならその力だけで電子の数は変わらないが、水溶液中に電流を流すなどすると、電子の個数が変化する。
 つまり、ナトリウムやカルシウムは電子を1個放り出そうとし、フッ素や塩素は逆に電子を1個取り込もうとする。
 表記の方法としては、塩素が1個電子を受け取った場合、「Cl-」(-は右上)と表記する。
 この様に、電子を受け取ったり放出したりしてイオンになることをイオン化といい、その時に移動した電子の数をイオンの価数という。

 最後に化学反応について述べる。
 多くの物質は案外簡単に他の物質と結合したり、または分離したりと、いろいろと反応を起こす。物質間で原子の組み合わせが変わることを化学反応といい、変化後は全く別の物質となる。
 例えば酸素と水素が結合すれば水ができ、10円玉は長い時間がたつと空気中の酸素と結合して酸化する。
 このような反応で2つ以上の物質が結合することを化合、またある物質が2つ以上の物質に分かれることを分解という。
 これらの反応の中で、熱や光を発しながら酸素と結合する化合反応を特に燃焼といい、昔フロギストンと考えられ、ラボアジェが真理を発見した反応である。

 次のページでは、化学的に錬金術が可能という事を、示す。
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