芸術としてのインフォグラフィックス
「わかりやすい」に加えて「見て楽しい」という要素が含まれれば、みなさんも今まで以上にインフォグラフィックスに関心が持てることでしょう。このように、インフォグラフィックスの中には「アート」に観点を置き、情報やメッセージを伝えることに加え、見て楽しむことや意外性を強調することに重点が置かれているものがあります。情報を色や形で表現する手段であるインフォグラフィックスを芸術的な表現手法と捉え、情報の視覚化によって独創的な表現をしようとする試みが行われているのです。
芸術的な側面が強調されたインフォグラフィックスには様々なものがあります。
例えば、Music Animation Machine というソフトがあります。
これはコンピューター上で音楽ファイルを再生するためのプレイヤーなのですが、他の様々なプレイヤーとは少し違った特徴を持っています。
なんと、再生している音楽を楽器ごとの音で色分けして画面にリアルタイムで表示することが出来るのです。
このソフトは設定画面で様々な表現手段に切り替えることができます。
下の動画で、どのように音楽を視覚化しているのかを見てみましょう。
(1分50秒)
このソフトを使うと、今まで耳のみで感じ取るものだった音楽を視覚的にも美しく表現できます。
つまり、今まで楽譜の読める音楽に秀でた人にしか理解できなかった「音楽の視覚的な美しさ」を、より多くの人と共有できるようにしているのです。
今まで感じ取ることの難しかったことを分かりやすく表現する。まさにインフォグラフィックスの利点が活かされています。
こうしたエンターテインメント性の高いインフォグラフィックスが多く見られるようになってきている背景には、コンピューターやインターネットの普及によって様々な情報の表現方法が可能になっていることが考えられます。近年では、高度な画像処理や映像編集が可能になり、また、ホームページなどを通じて情報を共有することが容易になりました。
インターネット上には、インフォグラフィックスを紹介する専門のウェブサイトもあり、その認知度は急速に広まっています。
しかし 芸術的なインフォグラフィックスが人気を得ている一方で、インフォグラフィックスの最大の目的である「伝達」が効果的に発揮されていないと批判する人も少なくはありません。そのような考えを持つ人々は「アートとしてのインフォグラフィックス」を「チャートジャンク」と見なします。
では「チャートジャンク」とは何なのか、そこではどんな問題が起こっているのか。