自ら光る生物
では、光る仕組みはというと、生物の種類にかかわらず、※9ルシフェリンの酸化 という仕組みで説明できます。
ただ、細部ではその仕組みは微妙に違っています。 例えば、ホタルでは、ホタルルシフェリンが、 ※10酸化反応を助ける※11酵素である ルシフェラーゼによって化学反応し、黄緑色、黄色、緑色などに光ります。 クラゲには、イクリオンという発光する※12タンパク質があります。 これにカルシウムイオンが付着すると、イクリオン中のセレンテラジンという物質が酸化され、青く光ります。 このセレンテラジンは、ルシフェリンと類似する物質です。 こういう生物の間のルシフェリンの変位が、発光色の波長の多様性につながっているようです。
一方、生物が発光を利用する目的は、様々です。 例えば、ホタルイカなどは敵からの防御、チョウチンアンコウは捕食、ミッドシップマンフィッシュは保護色、 クラゲは太陽紫外線から身を守ること、などです。
ただ、一般的な意味でルシフェリンの酸化という仕組みは解明されていても、 その発光機構がきちんと解明されいるのは、クラゲなどのほんの一部で、 キノコの発光機構はほとんど解明されていないそうです。
※1 原核(げんかく)生物・・・核を持たない細胞から成る生物。
※2 真核(しんかく)生物・・・核を持つ細胞から成る生物。
※3 両生類・・・例:カエル、サンショウウオ、イモリ
※4 爬虫(はちゅう)類・・・例:ワニ、トカゲ、カメ
※5 鳥類・・・例:スズメ、ペンギン、ハト
※6 哺乳(ほにゅう)類・・・例:ヒト、ウサギ、コウモリ
※7 細菌・・・原核生物に属する単細胞の微生物。
※8 軟体(なんたい)動物・・・無脊椎動物で、体が軟らかい動物。例:イカ、タコ、クラゲ
※9 ルシフェリン・・・ルシフェラーゼという酵素の作用を受けて生物発光を起こす物質のこと。
※10 酸化・・・物質が酸素と化合すること。
※11 酵素・・・生体内で起こる化学反応に触媒(化学反応で触媒自身は変化しないが化学反応を促進する物質) として作用する物質。
※12 タンパク質・・・生物体の構成成分の一つ。複雑な構造で炭素を含む化合物。
光る生物で日本人がノーベル賞受賞!
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