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自ら光る生物

 自ら光る生物は、地球上に4000〜5000種類もいると言われています。 自ら光る生物は、※1原核生物※2真核生物の両方にいますが、 なぜか植物、※3両生類※4爬虫類※5鳥類※6哺乳類にはいません。 すると、光る性質は進化の途上で捨て去れらるものだと言えます。 光る苔というのがありますが、分類上、苔は※7細菌などと同様の菌類に分類されます。 ただ、光る苔については、自分では光らず、反射するだけのようです。 細菌で光るのは、発光バクテリアで、0.1ミリほどの大きさで、海にいて青色に光ります。 菌類では、光るキノコとして、ツキヨタケ、ヤコウケタケが知られています。 ツキヨタケは、青緑の弱い光
↑ホタル <クリックで拡大(別窓で表示されます)>
を出し、ヤコウケタケは、緑色に光ります。 ※8軟体動物では緑色に光るオワンクラゲ、ホタルイカ、ウミホタルなどが知られています。 脊椎動物では、ヒカリキンメダイ、チョウチンアンコウ、ミッドシップマンフィッシュなど、 あと、忘れてはならないのは、蛍です。
 では、光る仕組みはというと、生物の種類にかかわらず、※9ルシフェリンの酸化 という仕組みで説明できます。


ただ、細部ではその仕組みは微妙に違っています。 例えば、ホタルでは、ホタルルシフェリンが、 ※10酸化反応を助ける※11酵素である ルシフェラーゼによって化学反応し、黄緑色、黄色、緑色などに光ります。 クラゲには、イクリオンという発光する※12タンパク質があります。 これにカルシウムイオンが付着すると、イクリオン中のセレンテラジンという物質が酸化され、青く光ります。 このセレンテラジンは、ルシフェリンと類似する物質です。 こういう生物の間のルシフェリンの変位が、発光色の波長の多様性につながっているようです。
 一方、生物が発光を利用する目的は、様々です。 例えば、ホタルイカなどは敵からの防御、チョウチンアンコウは捕食、ミッドシップマンフィッシュは保護色、 クラゲは太陽紫外線から身を守ること、などです。
 ただ、一般的な意味でルシフェリンの酸化という仕組みは解明されていても、 その発光機構がきちんと解明されいるのは、クラゲなどのほんの一部で、 キノコの発光機構はほとんど解明されていないそうです。


※1  原核(げんかく)生物・・・核を持たない細胞から成る生物。
※2  真核(しんかく)生物・・・核を持つ細胞から成る生物。
※3  両生類・・・例:カエル、サンショウウオ、イモリ
※4  爬虫(はちゅう)類・・・例:ワニ、トカゲ、カメ
※5  鳥類・・・例:スズメ、ペンギン、ハト
※6  哺乳(ほにゅう)類・・・例:ヒト、ウサギ、コウモリ
※7  細菌・・・原核生物に属する単細胞の微生物。
※8  軟体(なんたい)動物・・・無脊椎動物で、体が軟らかい動物。例:イカ、タコ、クラゲ
※9  ルシフェリン・・・ルシフェラーゼという酵素の作用を受けて生物発光を起こす物質のこと。
※10 酸化・・・物質が酸素と化合すること。
※11 酵素・・・生体内で起こる化学反応に触媒(化学反応で触媒自身は変化しないが化学反応を促進する物質) として作用する物質。
※12 タンパク質・・・生物体の構成成分の一つ。複雑な構造で炭素を含む化合物。

 光る生物で日本人がノーベル賞受賞!
 2008年のノーベル化学賞は日本人も受賞となりました。 受賞者は下村脩さん、マーティン・チャルフィーさん、ロジャー・Y・チエンさんで 授賞理由は「緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見とその応用」です。 GFPというのは Green Fluorescent Protein の略で、緑色蛍光タンパク質を表します。 下村さんはオワンクラゲからGFPを発見し、分離精製することに成功しました。 研究のために家族総出で数十万匹ものクラゲを捕った、という逸話もあるようです。
 GFPは名前のとおり、青い光か紫外線を当てたときに緑色に光ります。 GFPは発光するのに酸素などを必要としないので生物への影響が少なく、応用することに適しているので レポーター遺伝子として利用されています。