地球の周りの宇宙空間には
大量のゴミが漂っている。

「博士! これもちょっと衝撃の事実すぎませんか!?」

「確かに衝撃じゃの。宇宙にもゴミ問題はあったのじゃ。
このゴミは『スペースデブリ』と呼ばれておる。」
りんごの皮とか鉛筆の削りかすとかですか?」

「残念ながらそのような庶民的なものではないのじゃよ。
このスペースデブリの正体は、古くなったり故障したりして使用不能となった人工衛星、衛星などの打ち上げに使われたロケットの本体、宇宙飛行士が落とした工具や部品など様々にわたっておる。
しかしどれも、我々人間が宇宙開発の歴史の中で生み出してきたゴミなのじゃ」
「あちゃー。完全に宇宙を汚しちゃってますね」
「しかも宇宙を汚しているだけではないのじゃ。
これらのスペースデブリは現在活動中の人工衛星や有人宇宙船、
つまりは宇宙飛行士にまで危害を加える恐れのある国際問題として取り上げられておるのじゃ」


深刻な宇宙ゴミの問題

「今や10cm以上の大きさのスペースデブリだけで22000個が軌道上に存在しておる」
「あれ、意外と小さいように思えます。もっと大きいのを想像していました」
「確かに大きさだけでは大したことがないように思えるの。
本当に怖いのはその速度じゃ。
高度2000km以下の低軌道では、秒速7〜8km/sもの速度でこれらが移動しておる。先ほど言った10cm程度のデブリでも、衝突すれば宇宙船は完全に破壊されてしまうそうじゃ」
「ひぃー! やっぱり恐ろしいものでした。何か対策は施されていないんでしょうか?」
「もちろん各国とも何かしらの対策は取っておる。
まず最も重要なことは、不必要なスペースデブリの数を増やさないことじゃ。 運用時に破損したり、分離したりしてデブリを増やすことのないよう、宇宙機の設計や運用がより一層慎重に行われておる。

また比較的大きなデブリに関しては常時監視の目が光っておるぞ。この監視活動をスペースガードと呼ぶのじゃ。 代表的なものでは北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)の宇宙監視ネットワークが有名じゃな」
「スペースガード、だなんて宇宙の守護者みたいでカッコイイですね!」
「日本でもこのスペースガード活動は行われており、岡山県の美星スペースガードセンター、上齋原スペースガードセンターが実際にその任務に就いておるぞい」
「彼らがいれば、ひとまずはスペースデブリについても安心ですね」
「しかし完全な解決ではないことを忘れてはならんぞ。 将来的にはスペースデブリを直接取り除く技術が必要になってくるかもしれん。 人類が宇宙に進む上での小さくも大きな障壁、それがスペースデブリなのじゃ」


高度2000km以下の軌道を周回するデブリの分布

高度2000km以下の軌道を周回するデブリの分布

「次のトリビアは『シルバー・スヌーピー賞』についてじゃ」
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