日本の宇宙開発の深い理解を目指す
イプシロンロケット
「宇宙はどんどん私達に近づいてきておる!」 |
「どうしたんですか、突然大きな声で。」 |
「言葉通りじゃよ。宇宙は私達にとって決して遠いものではないのじゃ 特に宇宙開発の面においてはそれが顕著に現れておる これを可能にしたのが『イプシロンロケット』じゃ」 |
「いぷしろん……?」 |
(c)JAXA
「イプシロンとはギリシャ文字のΕを表す。日本のロケットの名称には 代々ギリシャ文字が使われてきているんじゃよ」 |
イプシロンが重要な理由
「んー……今のところ何が凄いのかよく分かってない自分がいます」 |
「まだ説明してないからの。」 |
「早く説明してくださいよ、気になります。そもそも何に使うロケットなんです?」 |
「主に小型衛星の打ち上げに使うのじゃ。ここがキーポイントじゃよ」 |
「小型衛星、が?」 |
「小型衛星は、地球観測衛星や通信・測位衛星などの 大型衛星と違って特殊な用途に用いられるため、 その時々に応じて特別な軌道で打ち上げる」 |
「なるほど。でもそれなら今までのロケットで対応できるんじゃ?」 |
「そうもいかんのじゃよ。小型衛星だけを打ち上げる為に 今までのロケットを使うのはお金がかかりすぎる上に、 そのような細かい軌道修正が難しい。だから、より小型で、 より安価で、より手軽なイプシロンロケットの開発が 望まれてきたんじゃ」 |
「なるほど、その開発がついに軌道に乗ったんですね」 |
「衛星だけにな」 |
「…………」 |
安いぞイプシロン
「もちろん凄いのはこのことだけではない」 |
「ですよね」 |
「何より安いのじゃ。宇宙開発にはお金がかかる。 少しでもコストカットできれば良いとみんなが思っている」 |
「安い、ですか。」 |
「例えば、今現在JAXAが使っている液体燃料ロケット、H-IIAロケットを 一回打ち上げる為に何円のお金がかかるか知っておるか?」 |
「うーん……889万6000円ぐらいですかね」 |
「随分と刻んできたの。正解は85億円から120億円程度じゃ」 |
「そ、そんなにかかるんですか!」 |
「その通り。しかし小型衛星というのは安価なことが特長であるから この金額をかけるのは大変非効率だと言えるじゃろ」 |
「私のお小遣いが一生困らないぐらいの金額ですからね」 |
「ところが、このイプシロンロケットなら 半分以下の38億円程度まで下げられるのじゃ。 生産性の向上などを図って更にコスト削減し、 最終的には30億円以下まで打ち上げ費用を 下げるつもりじゃ」 |
「さっきの金額と比べると随分安く感じますね」 |
「モータ構造を簡素化したり、日本の既存技術を 組み合わせたりすることで開発にもできるだけ費用をかけないように しているのじゃからの」 |
「だんだん、私にも打ち上げできそうな気がしてきました」 |
「気のせいじゃ、君の財布に入っている金額ではないじゃろう」
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すごいぞイプシロン
「まさに日本のロケット技術の集大成、って感じですね」 |
「宇宙が私達に近づいてきておる、というのはこういうことじゃ」 |
「他にこのイプシロンに特長は無いんですか?」 |
「よくぞ聞いてくれたの。 さっき『手頃に』と言ったが 実は打ち上げにかかる 準備の時間が非常に短い」 |
「というと」 |
「以前日本で使われていた固体燃料ロケット 『M-Vロケット』は打ち上げ場所に 第一段を据え付けてから、実際に発射するまで 一ヶ月強かかる。 ところがイプシロンはたった一週間、 7日で準備を終えてしまうのだ」 |
「はやっ!」 |
「これだけの迅速な準備ならば、災害などの緊急時に急遽小型衛星を 打ち上げ、宇宙から状況を確認という対処もできるようになるかもしれん」 |
「地震や噴火が多い日本にはまさにピッタリな用途ですね」 |
「また機体に搭載されている様々な機器類は、 自己診断機能を持っている。 つまりコンピュータが自分自身を自動的に点検することができるのじゃ」 |
「私より自己管理できてる……」 |
「更に更に! 今まではロケットの管制にも特別な機器を多数用いる必要があったが このイプシロンではノートパソコン程度の簡単な機器に 管制システムを統合できた!つまり理論上は世界中どこにいても イプシロンの打ち上げができるのじゃ!」 |
「す、凄い迫力だ!」 |
「シンプル・イズ・ベスト! 宇宙開発の敷居はどんどん下げられているんじゃ」 |
「これは、宙子衛星が打ち上げられる日もそう遠くないですねきっと」 |
「ホワイトスペースジャパンもみてみよう!」 |