はやぶさ2

「宙子は『はやぶさ』についてはもう知っておるな?」
「もちろんですよ、さっき話を聞いたばかりですからね。
あ、もしまだ読んでいない人がいたら ここを是非読んでみて下さい。
JAXAの人達がとっても頑張ったんですよ」

「一体誰に向かってしゃべっておるんじゃ……?
それでは『はやぶさ2』については知っておるかな?」
「はやぶさつー? 初めて聞きました。はやぶさの後継機ってことですか?」
「さすがに察しが良くなったの。
その通り、はやぶさ2も前回と同様に小惑星探査のために現在開発中で、
しかも更に古い小惑星の探査を目指しておる」


「古い小惑星」ってどんな場所

「古い小惑星? ってことは小惑星は多分長い時間の間に壊れて
ボロボロですよ!もっと新しいのにしましょう!」
「その発想はワシには無かったの。宇宙空間ではそうはならんのじゃ」
「どうしてです?」
「宇宙空間は真空じゃし、雨や風が吹くことも無い。もちろん人がいる訳も
ないから、地形が壊れたり、地質が変わったりしないのじゃ」
「なるほど。そう言われるとその通りですね」
「それではそろそろ、古い小惑星を探査する理由が分かったじゃろ?」
「えぇーっ!? 今の会話に答えがあったんですか?」
「ふふふ、難しいか。それじゃあもう一つヒントを出そう。
小惑星は、この太陽系が出来た時、地球などとほぼ同時期に完成したぞ」
「ん……? さっき博士は『地質が変わったりはしない』と言いましたね。
そして『太陽系が出来た時に一緒に出来た』っていうヒント……
…………あ」
「どうやら、気づいたようじゃな。
つまり『太陽系が作られた当時の鉱物、水、有機物などの組成がそのままの形で保存されている』ということなのじゃ」

この星を目指す目的

「じゃあこの小惑星の特性が、はやぶさ2の目的とも関係ある訳ですよね」
「それはもちろんじゃ。まず一つ目の目的に
『太陽系の起源と進化、生命の原材料の解明』がある」
「むむむ……難しいコトバを使いますね、さすが博士」
「簡単なことしか言っておらんぞ
小惑星に残る鉱物、有機物などは太陽系初期にあった物質そのままじゃ。
それらが互いにどのように作用したかを探ることによって
太陽系が今までどんな進化を遂げたか分かる、という意味じゃ」
「つまり、太陽系を構成する最初の物質が今までにどう変化したか
知る、と」
「そういうことじゃな」
『生命の原材料の解明』っていうのも同じ事ですよね。
私達生物だって、太陽系の最初にあったモノがどうにかこうにか変化して
出来たわけですからね」
「その通り。小惑星から生命の起源に辿り着けるかもしれんぞ」
「そう考えると、何だかワクワクしますね!
生命がどこから来たか、そのヒントも宇宙に……ってことかぁ」
「さっき一つ目と言ったってことは二つ目もあるんですね」
「お察しの通りじゃ。
二つ目の目的に『深宇宙探査技術の確立、発展』がある。
新たに小惑星を探査しようとすれば、また新たに技術を必要とする。
そして実際に小惑星を探査して実践し、データを集める。
この繰り返しによって探査技術がどんどん深まっていく。
そうすればこの分野において日本が一歩世界をリードするできるし、
将来更に高難度な探査をするときにその基盤となりうるのじゃ」
「へぇーなるほど。今だけじゃなく、未来も見据えて!ってことですね」
「その通り。実践することが大事なのじゃよ」
「そう言うけど博士の研究は失敗ばかりで実を結んでないですよね」
「失敗は成功の母、というじゃろ?」
「あ、開き直った」

どんな探査?

「実際にはやぶさ2が何をするかは分かるかな?」
「せっかくだし記念写真でも撮るんじゃないですか? 貴重な経験ですし」
「まあ確かに貴重な経験じゃしの。実は写真を撮るというのも少し合っとる」
「ホントですか!ポーズ自由ですか!?」
「はやぶさ2がポーズを取るのは難しい気がするぞ
それにそういう写真ではないのじゃ。
光学カメラ、赤外線分光計などを使って表面から小惑星を探査
するんじゃ」
「前回は『イトカワの砂』が採取できましたよね。今回もサンプル採取は
行われるんですか?」
「うむ、もちろん。今回、この採取には小型の探査ロボットを使う」
「ロボット!」
「探査ロボットが直接調査することで、小惑星表面を詳細に観察でき、
また試料採取も確実に達成できるはずじゃ

「これが新技術ってことですね。それで、地球に戻ってくると」
「いやいや、まだまだ終わらんよ。最後に小惑星にクレーターを作るのじゃ」
「ク、クレーター!?」
「クレーターを作ることで表面だけでなく小惑星内部の構造も観察できるからの。
安全が確認できれば内部からの試料採取も行われる予定じゃ」
「ひょー、これは凄いモノが見つかりそうな気がしますね。私、そう信じてます」

がんばれはやぶさ2

「最後に『はやぶさ2』のイメージ画像を見せようかの」
はやぶさ2と小惑星のランデブー

(c)JAXA,池下章裕

「うーんやっぱりカッコイイですね。ロマンを感じます」
「打ち上げは2014年、地球に帰還するのは2020年じゃ。
2021年頃からサンプルの分析が始まる。」


「7年以上に渡る大プロジェクトが始まろうとしているのじゃよ」


「とてつもない計画を聞いちゃいましたね。
よし、私もこれからずっと注目してみます」

「さぁ、次はイプシロンロケットについてみてみよう!」