【帰還の事実にこそ説得力がある】

『はやぶさ』が残した功績を教えてください

「やはり、最大の功績は、往復の宇宙飛行を実現する技術を獲得したことでしょう。「はやぶさ」が目指していた技術的な目標は、「イオンエンジンによる惑星間飛行」「自律的な航法と誘導」「小惑星のサンプル採取」「イオンエンジンを使用した地球スウィングバイ」「カプセルによる大気圏再突入」の5つです。
この5つの技術を全て獲得できたからこそ、往復の宇宙飛行は実現できたのだと思います。これらの技術は互いに密接な関係を持ち、将来行われるサンプルリターン、往復宇宙飛行などに欠かせない技術ばかりです。それを獲得したということは、次の時代に技術の橋渡しができるということで、これはものすごく大きな飛躍だと思います。
最後まで諦めずに頑張ったプロジェクトチームの実力が 「はやぶさ」の帰還につながっています。この「帰還の事実」にこそ、強い説得力があるのだと思います。」

「往復の宇宙飛行、つまり、小惑星を直接探査するだけではなく、地球に帰ってくることができたからこそ『はやぶさ』プロジェクトは大きな意味をもつわけですね。
ということは、やはり帰還にはこだわったんですね?

「当然です。
『はやぶさ』の一番の目的は『地球に帰ってくる』ことにありました。イトカワに到達しただけではまだ道半ばで、何が何でも地球に帰還させる必要があると。ですから、2005年12月に『はやぶさ』が音信不通になったときは、どんな手を使っても『はやぶさ』を救いたいと思いました。
また『はやぶさ』に対する皆さんの応援、関心が高まったのは、帰還のめどが立った2010年の3月頃からだったと思います。皆さんにとっても、『はやぶさ』が地球に帰還することは、特別な意味を持っていたのでしょう。」

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