【人類初のチャンスに大きな喜び】

「『はやぶさ』の7年間の旅を振り返り、特に印象に残っていることは何でしょうか?」

「小惑星イトカワへの到着、イトカワへの離着陸、行方不明からの救出、イオンエンジンの応急処置による運転継続、そして、地球に帰還できたことが特に印象に残っています。
前日まではイトカワの形は大まかにしか分かりませんでしたが、まさしく到着した日にやっとイトカワの詳細な地形が分かりました。イトカワは岩でゴツゴツしていて、私にも予想外で大変驚くものでした。そして、「この天体を人類が初めて見る」というチャンスを、自分たちの手で掴んだことに大きな喜びを覚えました。
 また、イオンエンジンの運転継続のように、どんな危機でも色々な人が自発的に次々とアイデアを出してくれました。プロジェクトの関係者が、各々の意気込みを十分発揮できたプロジェクトに見えたのがとても印象的です。 」

「思い返すと、「はやぶさ」には機器のトラブルなど多くの試練がありましたが、プロジェクトマネージャとして心がけたことはありますか?

「私が何もしなくても、みんなが積極的に動いてくれました。プロジェクトチーム自身に意気込みがあり、どんな危機的状況でも、各々が自分のベストを精一杯尽くしている、という感じでした。これは先程お話した通りです。
ただ、強いて言えば、誰もが意見を出しやすい雰囲気を作るようにしました。実績や立場に関係なく、また、過去の前例がない方法でも、最善の策ならば採用して取り入れるようにしたのです」

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