大分の史跡探訪 > 高瀬石仏
◆玄奘を守った守護神
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豊後国、すなわち大分県は石仏や磨崖仏の数が日本一であり、大分市にも各所に石仏が存在しています。
この石仏は、大分市の南部・稙田(わさだ)地区にある高瀬石仏。平安時代後期の作と見られ、当時の民間信仰の中心であった大日如来(写真中央)を中心に5体の石仏が彫り出されています。石窟の中にあるため、当時の色彩が現在でもよく残っています。
さて、ここには5体の石仏があることは前述しましたが、左の写真では手前の1体が写っていないんです・・・(^^;;) なのですが、ここでは、その写っていない1体の仏像に注目しようと思います。
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それがこの仏像。よく見ると、足から腕にかけて何かが巻き付いていますね。これ、実はヘビで、左手でそれを捕らえている姿なのです。また、見えにくいですが首飾りにはどくろが描かれ、そして腹には何やら女性の顔らしきものが見えますね。頭の形も、仏像としては変わった形。いったい、この仏像は何なのでしょうか?
・・・これは深沙大将(じんじょうたいしょう)という、仏教の守護神の1人なのです。深沙大将は、唐の時代に活躍した中国の僧、玄奘(げんじょう、三蔵法師)がインドを訪問した際に、砂の中から現れ、玄奘を守護したという伝説があります。なるほど、それで体に絡みついたヘビを捕らえているんですね。
で、皆さんが一番気になるのは腹に描かれた女性の顔だと思うのですが、これは全体的に怖いイメージの深沙大将も、実は優しい心の持ち主であることを表したもののようです。言われてみると、何とも分かりやすい表現ですね。
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では、どうして当時の人々は仏様ではなく、守護神を祀ったのでしょうか?
左の写真は、深沙大将の隣にある大威徳明王(だいいとくみょうおう)の像です。この像も、顔と腕と足が6本ずつあるという変わった姿をしていますが、このうち6本の腕は仏法を守ることを表していると考えられ、ほかの6つの顔と足もそのための実践を表したものです。したがって、この大威徳明王と深沙大将は、仏法を守るための象徴として彫られたものと考えられます。
ちなみに、この2体の像は全国的にも珍しい存在だということです。それほどこの地の人々の仏教への厚い信仰と、仏法を守るという熱い思いが感じられますね。
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高瀬石仏(たかせせきぶつ)
所在地:大分市高瀬
(Googleマップを表示)
駐車場:あり(60mほど離れた場所)
アクセス:大分バス「三愛メディカルセンター前」バス停下車、徒歩20分
大分自動車道大分光吉インターから車で10分
JR大分駅から車で25分 |
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