TOP現代に見る東西二大宗教





 世界中に数多くある宗教ですが、ここでは二大宗教として挙げられるキリスト教と仏教の性質の違いと現代の東洋と西洋との関わりについて考察します。


 二つの宗教を東洋と西洋という括りで分けると、東洋が仏教、西洋がキリスト教となります。そして、それぞれの宗教は、東洋と西洋の異なった環境から生じた思想であると考えられます。キリスト教とは直線的世界観砂漠的思考の極論であり、仏教とは円環的世界観森林的思考の極論であるといえます。

(本質の違い『円環的思考と直線的思考』、『森林的思考と砂漠的思考』参照)



 キリスト教の思想が示されているものが聖書であり、その中にも直線的思考と砂漠的思考に対応した思想が記されています。

 旧約聖書創世記の中には、神が7日間で世界を創ったというエピソードが記されています。また、ヨハネの福音書によると、キリスト教における死後の世界とはあくまで一時的な場所でしかなく、最後の審判の時に全ての死者が復活し、永遠の命を手に入れるとされています。これらの記述からわかるように、キリスト教では世界の始まりと終わりが明確に記されており、世界を直線的にとらえているということがわかります。

西洋では、物事の判断は生死にすら関わることもある重要なものでした。そのため、考え込むよりも行動に移すことを重要視したのですが、中には自分の力だけではどうしようもない局面もあります。たとえば、砂漠にいるときにどちらに進めば水を得ることができるかを、自分の力で知る術はありません。そのような時、西洋の人々は、神様が自分を導いてくれると考えたのです。西洋の人々にとっての神とは、自分の力が及ぶことのない領域に干渉することができる存在であり、人と神との間には絶対的な隔絶があったのです。そのため、人々は祈ることで、神との接触を図ろうとしました。


 仏教において、人とは輪廻の中にいて、死後、前世の行いに応じて人や虫といった新たな生物として無限に生まれ変わるものとされています。始まりと終わりの概念が無く、無限に続く世界の中で無限に誕生と死を繰り返す。これこそ円環的世界観の極論であるといえます。

 東洋の仏教には「因果論」という概念が存在します。因果論とは、物事の成立には原因と結果が存在し、前世の行いが来世に影響するという考え方です。これはあくまで信者の善行を薦めるものであり、現在の日本においても「因果応報」という形で残っています。結果に対し、因果、すなわち理由を求めるこの考え方は、現象を観察、掘り下げることに本質があり、森林的思考の表れだといえるでしょう。また、仏教においては、人は成仏することで、文字通り仏に成ることができます。仏教における神とは人の延長線上にあるのです。


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