<2014.12.23.チーム170236制作>
おに 【鬼】
別 名 | ||||||||||||||||||||
出没地 | 念仏寺(五條市)、金峯山寺蔵王堂(吉野町)、明日香村平田、紀伊山地 | |||||||||||||||||||
容 姿 | ||||||||||||||||||||
出没方法 | ○毎年1月14日、大津(五條市)の念仏寺陀々堂で「鬼走り」の行事が行われる。午後8時頃になると、大般若経の読経に続いて護摩が焚かれ、その火を松明に移して阪合部家に鬼を迎えに行く。やがて、赤鬼面の父鬼が右手に斧を持ち、青鬼面の母鬼が槌を持ち、茶鬼面の子鬼が箒木をもって現れる。今度は、順に陀々堂の正面に燃え盛る松明をもって現れ、空中で「水」の字を書くようにその松明を振り回す。(※1) ○(金峯山寺蔵王堂では)午後1時頃から星供養がなされ、2時頃から鬼踊りがある。信者が鬼になって、荒れ狂う様が演じられる。このあと豆まきがあるが、ここでは「福は内、鬼は内」と言う。鬼は決して悪鬼ではなく、悪疫や災厄を払ってくれる善神として伝えられている。鬼も福と共に迎え入れて、内なる邪気の退散を願ったそうである。(※2) ○『続日本記』によると、「役小角はよく鬼神たちを使役して水をくみ、薪を取らせた。もしも命令を聞かない時は、ただちに呪術でもって縛ってしまった」という。現在、寺社などに伝えられている役行者像には、たいてい前鬼・後鬼を従えている。この二鬼は、生駒山で悪事を働いていたのを役行者が従えたと伝えられている。(※3) |
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事 例 | ○明日香村平田に、鬼の俎(まないた)・鬼の雪隠(せっちん)という2つの石が道をはさんで上下にある、昔、通行人が現れると、鬼は霧を降らして迷わせ襲ったという。さらに、襲った人を俎にのせて料理して食べ、雪隠(トイレ)で用を足したのだというのである。(※4) | |||||||||||||||||||
アクセス |
明日香村鬼の俎・鬼の雪隠 (外部のページへ) |
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原風景 |
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考 察 | 【性格・生まれてきた背景】 四角い顔で、目・鼻が大きく、顎ががっちり、毛深くて3〜4等身というのが、全国的な鬼のイメージですが、こうした人間のようで人間でない異形は、弥生人に対する縄文人の姿を表現しているようにも思えます。そうすると、古代から中世にかけては、ある時は敵となり、ある時は共存の関係にあったと思われ、そこから物語が生まれてきたのではないでしょうか。 【実体・モデル】 鬼の俎・雪隠は、実際はどちらも古墳の石棺で、俎はその底部、雪隠はそのふたの方が転落したもののようで、欽明天皇陵の陪塚とも言われています。このように各地に残る人間業とは思えないようなものや出来事に、天狗や鬼の仕業として伝えてきたことがよくあります。 【現在人との係わり・存在感】 全国の鬼には、人間に悪行を働く鬼、人間を戒める鬼、そして人間を助ける鬼と別れます。奈良県に出没する鬼は、鬼走り(五條市念仏寺)の鬼、蔵王堂(吉野山)節分の鬼など、人間に好意的で歓迎される鬼が多いように思います。 |
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参考文献 | ※1)五條市史編集委員会『五條市史・新修』(S62.10.15.五條市役所) ※2)吉野町史編集委員会『吉野町史』(S47.1.15.吉野町役場) ※3)志村有弘他・著『七人の役小角』(2000.3.10.桜桃書房) ※4)奈良県史編纂委員会『奈良県史13民俗(下)』(S63.11.10.名著出版) |