<2014.10.22.チーム170236制作>

おおにゅうどう 【大入道】

別 名 大入道(十津川村・東吉野村麦谷)、高坊主(黒滝村)、白坊主(東吉野村巡礼谷)
出没地 十津川村、東吉野村(麦谷・巡礼谷)、黒滝村赤岩
容 姿 ○身の丈六尺の見上げなければならないほど大きな入道で、皿のような目が二つついていて、ギラギラとしている。口は裂けている。(※1)
○白坊主といって、真っ白な達磨さんのようで、足もない。(※1)
出没方法 ○昔、黒滝村のあちこちの山道には、高坊主という化け物が夜になると現れ、通行人や旅人を困らせた。高坊主は、杉や桧と同じくらいの背丈のある巨人で、一つ目小僧だと言われている。(※3)
事 例  茶器という郵便配達人は、郵便物をかついで時化ランプの明かりを頼りに笠捨山を登っていた。すると、生あたたかい風が吹いてきた。「さては、また化け物だな」と思ったとたん、ランプの灯は消えた。やがて、ゴウゴウと山鳴りがし始め、ドサーッ、バサーッという音もし始めた。何者かが、恐ろしい音を立てて山を下りて来る。風も恐ろしく吹いている。ついに、大入道が出た。高さは一丈余り(約3メートル)で、山道をひょいとひとまたぎすると、ずんずん下へ下へおりていった。大入道が山を下りていってしまうと、山鳴りも地鳴りも風も、うそのようになくなった。(※2)
アクセス
笠捨山(外部のページへ)
原風景
濃霧(大台ケ原) <2013.9.28.チーム170236撮影>
霧氷(大台ケ原) <2012.11.18.チーム170236撮影>
考 察 【性格・生まれてきた背景】
 大入道は別名白坊主、高坊主とも呼ばれており、黒滝村、十津川村、東吉野などに伝わっていますが、いずれも山深い地域でしかも夜に出現しています。こうした場所は、その昔、天候の悪化や急変により、峠越えは困難を極め、遭難や死亡者も出たと思われます。そういった事故が多発したため、大入道という妖怪が生まれてきたのではないでしょうか。
【実体・モデル】
 白く山程の大きさという特徴は、濃霧や霧氷によって覆われた大木がモデルとして考えられます。山深い地域の濃霧は、数メートル先さえ見えない時もあり、大入道に飲みこまれていく様がピッタリです。また、黒滝村の大入道、は杉や桧と同じくらいの背丈がある巨人で一つ目小僧とも言われていますが、一つ目は、大木に生まれた大きな洞でしょうか。
【現代人との係わり・存在感】
 現在、山間地域も自動車道路が整備され、安全に通行できるようになったためか、大入道という存在は薄れつつあります。
参考文献 ※1)竹原威滋・丸山顯コ編『東吉野の民話』(H4.12.10.東吉野村教育委員会)
※2)十津川村教育委員会編『十津川郷の昔話』(S60.5.20.第一法規出版)
※3)黒瀧村史編纂委員会『黒瀧村史』(S52.9.15.黒瀧村村長辻村源衛門)