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UDとは?>UDの対象>視覚障がいに対するUD | |||||||||
視覚のUD 回復困難な視力低下など、視覚に関する障がいを「視覚障がい」といいます。視力低下はその程度によって区別され、まったく物が見えないことを全盲、矯正視力が0.03以下のことを弱視といいます。 簡単な工夫で視覚障がい者の困難を取り除くこともできます。有名な例では、シャンプーボトルにある突起があります。元は一つの会社がシャンプーとリンスの区別のために行っていたものですが、消費者の混乱を防ぐためにと業界全体に働きかけ、現在ではほとんどのシャンプーには突起があります。改善を行った後には視覚障がい者以外にもたくさんの消費者から感謝を伝える声が集まってきたといいます。新しい技術は必要としないのに多くの人から便利だと思われるようになった事例として、UDの模範的な例であるといえます。 色弱に対するUDグラフや図では、色を用いて情報を提示することがあります。一般の色覚を持っている人は色分けされているグラフや図を見たらわかりやすいと感じることが多いと思います。しかし、日本人の約5%の人々は多くの人々が感じている色と違う色覚を持っています。人間が色を感じる仕組み光を電気信号に変換して大脳の視覚中枢に伝達し、色を認識することを色覚と呼びます。この色覚にはいくつか種類があります。日本人が持っている色覚の大半を占めているのがC型色覚で、虹の七色などをそのまま感じ取ることができます。残っている5%の人たちはP型色覚、もしくはD型色覚を持っており、これまで「色覚異常者」や「色覚障害者」など差別的な呼び方をされていました。今日では「色弱者」という呼び方をしています。P型色覚を持つ人たちは赤い光を感じ取りづらい人を指し、D型色覚は緑の光を感じ取りづらい人を指します。この他にも後天的な色覚として、青い光を感じ取りづらくなるT型や、複数の光を感じ取りづらいA型などがあります。 世界的に見ると、色覚がC型でない人は二億人も存在することが分かっています。それゆえ、決してこれらの人たちを「色覚異常者」と呼んではいけません。どちらかが健常で能力が高く、もう片方が異常で能力が低いというわけではなく、人それぞれ異なった色空間と色認識能力を所有していると考える必要があります。 ここまで上げてきた例のほかにも、加齢などによって発症しやすくなる眼病によって色覚が変化することがあります。代表例が白内障で、日本では300万人が発症しているといわれています。症状としては青い系統の光を感じ取りづらくなる他、視界が赤っぽく見える、黄色と白の判別がつきづらくなることなどがあります。また、光が散乱して網膜に入るために物がぼやけて見えるのも特徴です。ほかにも緑内障という眼病があります。この眼病は網膜視細胞の損傷により引き起こされ、視野が徐々に狭まってしまう症状が出ます。失明に至る例も少なくありません。病気によって色覚が変わるこれらの例はほぼ先述したT型色覚に分類されることが多いです。 カラーユニバーサルデザインこのように様々な色覚を持っている人が存在しますが、少数派の色覚を持っている色弱者は生活の多くの場面で困難を感じることがあります。例えば信号機や家電の電源ランプの識別がつかなかったり、健康にかかわる例としては肉がしっかり焼けているかの判別を色でできなかったりと、多くの障壁が町中にあふれているといえます。一般色覚者を中心とした社会は、少数派の色弱者にとっては生活しづらい環境となっています。この状況の中で、UDに配慮された工夫が徐々にされてきています。色覚の違いに配慮したユニバーサルデザインを特に「カラーユニバーサルデザイン」と言います。例としては、P型色覚を持つ人が識別しづらい赤色のものを極力使わないことや、見分けのつきやすい展示やWebサイト、掲示などが主に挙げられます。 前者の例として、赤いレーザーポインターの光を緑に変えたものを使うことや、学校のチョークの色合いも微妙にオレンジに近いものに変える工夫があります。 後者の例として、案内板でよく使われる区域ごとに色を分けるという手法だけでなく、その色が何色なのかということも一緒に示したり、模様や形を変えたりといった工夫があります。 さらに、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)で規定されている色を使うことも、色弱者にとって一つの大きな助かりとなります。 カラーユニバーサルデザインに気を配るでは、作ったものがカラーユニバーサルデザインに配慮できているかを確認するにはどうすればよいのでしょうか。まずは今存在しているものを色弱者の人が見た時にどう感じるかを知る必要があります。それには、カラーユニバーサルデザインチェックツールを使用することが有効です。コンピュータ上で確認する方法としては、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorを使用したシミュレーションがあります。この機能を使用するとP型やD型の色覚を持った方の見え方をディスプレイ上に再現することが出来ます。実例として、加工する画像の前と後を、右下の画像に示しています。 他にも色覚のシミュレーションをするソフトはありますし、シミュレーション機能を付けたディスプレイも存在します。いちいちコンピュータを介さなくても色弱者の視覚を体験できるCUDチェック眼鏡という製品も存在します。 こういった技術を活用してどんな人でも快適に使えるデザインを考えていくことは、カラーユニバーサルデザインの実現に大きく寄与するでしょう。 |
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