身近な存在

身のまわりの折り紙

千羽鶴に託す

鶴は鳳凰と共に瑞鳥として昔から親しまれています。
折紙といえば鶴を連想するほど代表的な存在で、折り紙も鶴だけなら折れるという人が多いといえます。

一般に千羽鶴とは鶴をたくさん折って 糸などでつなげものをいいます。

この風習がいつ頃からあるのかははっきりしません。

十三世紀に作られた宇治拾遺物語の中には藤原道長が誰かに呪われた時に 阿部清明という陰陽師に真相の解明を尋ねたところ、陰陽師は紙で鳥の形を作って投げ上げたらたちまちに白鷺となって (呪っているものがいるであろう)南を指して飛んでいったという記述があります。

(宇治拾遺物語巻第十四「御堂関白の御犬清明等奇特の事」)

また「折り紙って遊び?」の項ででてきた折り鶴の古典といわれる
『千羽 鶴折形』(1797年)のはしがきには、

「一羽の鶴に千の寿があるのなら、千の鶴には百万の寿 あり…」とあることから、その頃にはすでに千羽鶴を折って願いをかなえてもらおうとする風習があったらしいということ が推測できます。

(画像協力:『折紙探偵団』)

千羽鶴は世界平和や病気の回復、商売繁盛受験の合格、 選挙の当選などのさまざまな願いが叶ってほしいとの祈りを形にあらわし鶴に自分の祈り・想いを重ね託しているのだと考えられます。

(千羽鶴協力:慶應湘南藤沢中等部1年B組)


この千羽鶴に託する日本人の心に通じる例としまして

「父開高健から学んだこと」(開高道子著、文藝春 秋 )

というエッセイ集の中の

「千羽鶴」(P24~30) をご紹介いたします。

興味のある方はこちらへ

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