聴覚障害者

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このページの目次
聴覚障害者とは
聴覚障害者ここが不便
視覚障害者を助ける道具
聴覚障害者の雇用
手話
コミュニケーション
提案
参考ホームページその他
英語版へ
子供用へ
■聴覚障害者の後藤さんへのインタビューのリンク
こんにちは!

聴覚障害者とは ページの先頭へ

  聴覚障害者は、比較的社会進出をしています。聴覚障害者全体(70db以上)では35万人ちょっとと、視覚障害者と変わらないのですが、常勤労働者は約6万人と、聴覚障害者全体の17%ほどをしめ、就労している身体障害者の中でも、約17%と、肢体不自由者に次ぐ社会進出を果たしています。それには、障害者自身や、聾学校受け入れ企業などの努力が不可欠です。
 聴覚障害は、視覚障害と異なり、最も重い人で2級の身体障害者となります。つまり両耳の聴力100db以上(地下鉄の騒音くらいの音でも音の存在が分かるか分からないか)が2級で、両耳の聴力が80db(地下鉄の車内で、音の存在がやっと分かる)もしくは、片耳が90db(耳元で大声を出してもらわないと音の存在がわからない)以上で、他の耳が50db(昼間の住宅の生活音の存在がわかる)以上が6級で、その間が3、4級です。
 聴覚障害の原因としては先天性の障害では、 母体が病気にかかっていたり、(睡眠薬など)などを飲んでいたりなどの原因が考えられますが、不明な人も多いです。後天性の場合は、注射による疾患や、難産の場合に出産をするときに組織をいためたり、中耳を病んだり、突発性の疾病があったり、高熱を起こしたり、老化だったりなどの原因が考えられますが、不明な人もいます。
 一口に聴覚障害といっても、障害の時期により遺伝性、胎内後天性、生後など、様々な分類がされ、それぞれ障害や文化が微妙に異なります。失聴の原因には、外耳から中耳までの伝音器官の障害である障害、つまり入り口から出口まで伝わってこないのを伝音性難聴、内耳から脳中枢までの感音器官に障害がある場合、つまり、音が入ってきてもそれを感知できないのを感音性難聴と言い、この2つが合わさったものを混合性難聴といいます。遺伝性や、体内後天性の聴覚障害者は、相当な教育を受けても健聴者の正しい発音をするまでにはなかなかなりません。しかし、後天性、特に教育を受けた後で失聴した人の発音は、健聴者と変わりません。しかし、生後まもなくという場合は先天性と変わらないこともあります。
 聴覚障害者のハンデには、耳が聞こえないという一次的ハンディキャップが原因となる話したり、読み書きなどが難しい二次的ハンディキャップそしてそれによってコミュニケーションが難しい三次的ハンディキャップがあります。障害者への治療には、人工内耳、人工中耳などが今開発されていますが、特に感音性の難聴は、まだまだ前途多難です。  

聴覚障害者ここが不便 ページの先頭へ

 聴覚障害者は、手話、補聴器、メール、ファックス、聴導犬などによって、かなり自立することができます。しかし、聴覚障害者も不便なことがたくさんあります。聴覚障害は外見で判断できないので、周囲の方に気づいてもらえません。視覚障害者の白杖、肢体不自由者の車椅子などは、本来の目的のほかに、健常者が、その人が障害者だと判断することで、何らかの配慮をするという目的もあります。しかし、聴覚障害者が外見的に異なる所はほとんどなく、あえて言えば、補聴器をつけている人もいるということでしょうか。そうはいっても、注意をしないと気付かないために、必要な配慮を受けられない場合もあります。
 例えば、自転車が後ろから狭い道で追い越すときは「危険ですから避けてください」という意味でベルを鳴らします。それを聴覚障害者は聞く事ができません。 聴覚障害者は普通の声で呼びかけられてもまず気付きません。それは、聴覚障害者の補聴器の性能や障害の程度にもよりますが、障害の程度が軽めの人が補聴器をつけたとしても「集中しても、ゆっくりと分かりやすく話してもらえないと内容が取れない」状態だからです。ですから、前に回るか、肩をたたくかしないと注意を喚起することができません。
 放送や講演などは、健聴者向けの速さで、かつ口型が分かりません。ですから、ほとんど理解できません。そして、健聴者同士の会話はほとんどわかりません。健聴者同士で話す際の速さや口型のあいまいさで、ほとんど意味をとることができません。 中途失調の場合、発音はきちんとできるのですが、自分の音量が分からないので、大声を出して迷惑をかけてしまうことがあります。
 聴導犬の項目でも解説しますが、聴覚障害者は、生活音が聞こえません。ですから、お湯が沸いても分からなかったり、だれかが戸を叩いても分からなかったりします。換気扇や掃除機が、本当に動いているのかも分からないままです。
 最後に、手話などを含むデフカルチャーが理解されない場合があります。

視覚障害者を助ける道具  ページの先頭へ

 (1)補聴器
 今の技術だと、全体の音を単に増幅するものが主流ですが、人間の耳は聞きたい音を増幅し、注意を向けないと小さな音になるという特性を持っているので、例えば喫茶店などで話すときは、健聴者であれば、もしも相手の声とBGMや他の席の人の声が同じ位大きくても、相手の声を聞き取ることができます。しかし、今の補聴器では、全ての音がほとんど同じ位増幅され、非常に聞き取りにくくなります。それに、性能に比例して大きさが大きくなる傾向にあるため、不便です。これは、耳を見習った技術など、技術革新により解決されるでしょうが、補聴器をつけている聴覚障害者と話す場合には、静かな場所でというのが今の所は求められています。
 (2)聴導犬
 盲導犬のように聴覚障害者を導いてくれる犬のことでしょうか?いいえ、違います。聴覚障害者は、訪問者があってもベルが聞こえなかったり、やかんがピーピーいっていても聞こえなかったりと、生活が不便です。そこで、音を覚え、例えば「ピンポン」なら、障害者を玄関に引っ張るとか、「ピーピー」なら台所へ引っ張るなど、聴覚障害者が生活しやすいように助けてくれる特別に訓練された犬です。
 (3)ファックス
 携帯電話やパソコンのメールが発達する以前は、連絡や情報の入手手段として、ファックスの果たす役割が非常に大きかったです。書いたものが送れるということで、高率の所持率でした。 
 (4)メール
 携帯電話やパソコンのメールが発達した今では、特に若者は連絡には専らメールを使っています。
 (5)振動装置付き腕時計
 節々のチャイムや放送が聞こえない障害者に、始業、休み、終業などを振動で教えてくれます。目覚ましにもなります。
 (6)お知らせランプ
 例えば、玄関に訪問者が来るとき、健聴者は「ピンポン♪」という音でわかります。しかし、その音を聞くことができない聴覚障害者は、ランプが点灯することで、それを知ります。しかし、たまたま反対側を向いていたりしてわからないこともあります。

聴覚障害者の雇用 ページの先頭へ

 まず、聴覚障害者の雇用の際に最も重要なことは「聴覚障害者」と一くくりにくくるのではなく、それぞれの人の個性を考えるということです。つまり、障害者はネクラとか、手話を覚えないとコミュニケーションが取れないとか、散髪などの昔から聴覚障害者が行ってきた技術系しか向かない、抽象的なことは分からないなどのステレオタイプでくくることよりも、その人の性格、障害、技術を考えて採用をするか決めるというのが重要です。
 一度就職が決まると、その人の障害への配慮が当然必要になります。障害の特性、特にコミュニケーション等から生じる人間関係の問題をどう解決するかですが、まず、その人が望むコミュニケーション形態を取るということです。例えば、手話をして欲しい人がいれば、筆談をして欲しい人、口型で分かる人、耳元で話せば聞こえる人など、その人に合わせたコミュニケーションを取りましょう。その上で、館内放送を行ったら、近くの人がその直後に内容を要約したメモを渡す事や、大事なことは、口頭で「はい、分かりました」といっても、一応メールで確認するなどの先手先手の手を打つ必要があります。
 今まで、聴覚障害者が就職するとすれば、木工、印刷、縫製関係、理容など限られていました。それは、聾学校と企業のつながりが薄く、どのような人材が欲しいのかが分からないので今までのままの職業教育を行ってきたことなどに原因があります。今では、工業デザイン、金属工芸、プログラマー、歯科技工師などの新しい教育・訓練課程を設置する教育・訓練機関がやっと増えてきました。
 しかし、聴覚障害者がなれない職業がたくさんあります。医師、歯科医師、歯科衛生士、保健婦、助産婦、看護婦、准看護婦、診療放射線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、薬剤師視能訓練士、言語聴覚士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士毒物・劇物取扱責任者、検察審査員などです。昔は、免許も取れませんでしたが、今では、10m後ろで90dbのサイレンを鳴らして、聞こえれば免許を取得できるようになりました。このように、昔の聾学校の生徒が十分な教育を受けられなかった時代にできた規定をどんどん改正すべきです。
 最後に、聴覚障害者だけではなく、全障害者の法定雇用率は一般民間企業では、56人以上の従業員であれば1.8%、国や地方公共団体は48人以上であれば2.1%以上などとなっていて、それを達成しなければ事業主は所定の身体障害者雇用納付金を納めなければいけません。それでも障害者を雇用しない会社が多いのです。聴覚障害者を含めた障害者の雇用が重要な問題となります。

手話 ページの先頭へ

 手話は、ジェスチャーではありません。手話は、日本語を表示する記号でもありません。手話は、指文字ではありません。手話は、言語です。日本における手話は大きく分けて2つあります。つまり日本手話と日本語対応手話です。日本手話は、聴覚障害者が一番よく使う手話で、日本語とは全く違った文法を持っています。日本語対応手話は、NHKの手話ニュースなどでやっている日本語の順番に手話の単語を並べるというものです。日本手話を学ぶということは、外国語を学ぶことと同じです。ですから、非常に難しいことです。指文字というのは、指の形で50音を表すもので、名前を表すときなどに用いられますが、それだけで会話することはまずありません。シムコムは、言葉を話しながら、それに手話を加える、つまり、日本語対応手話をしながら、話すというもので、日本手話とは全く違うものです。そして、手話は、記号と物の形に連続性があるとは限りません。つまり、具象的な単語ではまだ連続性があったでしょうが、普通に使われるぶんには、連続性がありません。これは何を表すでしょうか?そう、手話は具体的なものだけではなく、抽象的なものも表せるのです。
 この便利な手話を今までは聾学校では教えてきませんでした。その理由は、昔の明治時代の「軽度難聴」の人達は、小さな聞き取りにくい音を、口の形を見ながら聞き取るという口話を行い、ある一定の成果をあげました。そのため、手話は禁止されたのです。
 しかし、聴力90db以上の今の聾学校の生徒には、ほとんど音のない世界といってよいでしょう。音の助けがりませんから、例えばいくら口話に習熟しても「卵一個買ってきて」と「タバコ一個買ってきて」という全く同じ口型の会話があった時に、どちらなのかを判断ができません。このように、口話には限界があるにもかかわらず、手話を禁じているのです。いまでは、手話をできる学校もありますが、少数派です。
 手話が言語だということを理解すると聴覚障害者にも手話が分からない人が多いということも重要です。片親(両親でも)が聴覚障害者である1割程度のネイティブサイナーででもなければ、手話は聾学校で教わる言語なのです。中途失聴者の中には、手話を覚えない人もいるのです。 

コミュニケーション ページの先頭へ

 口話手話筆談要約筆記などがあります。
 まず、口話ですが、顔全体の動き、特に唇や舌を目で読み取ることで、意思を理解しようとします。まず、逆光ではなく、光が当る場所に移動して話しましょう。次ぎに相手の人の目を見て話しましょう。髭は生やさないようにしましょう。流行語や、難しい表現をすると、伝わりませんので、簡潔に話しましょう。同じ口型では、分かりにくいので、動作などをつけましょう。わざわざ「わ・た・し・の・な・ま・え・は」のように切る必要はありません。比較的ゆっくりと音節のまとまりを考えながら話してください。聴覚障害者の発音は聞き取りにくいかもしれませんが、その人の癖がわかれば比較的分かりやすくなります。
 次に、手話ですが、まず、顔の表情を大切に、無表情だと伝わりにくいです。分からない単語などは、言い換えながら、日本手話が無理であれば、日本語対応手話でも、一応通じないわけでもありません。シムコムを話した場合、顔の表情(サイン)が失われるので、日本手話よりも読み取りにくくなります。ただ、メモを取るのが困難なので、会議では前もってシラバスなどを渡しておきましょう。 
 それから、筆談ですが、非常に面倒くさいのですが、後に残る上、どちらも確実に分かることから正確性を求めるコミュニケーションで用いられます。読めない漢字が比較的多いので、ひらがなや、フリ仮名をふったり、文字に口話や手話を加えるなどをしましょう。長文は、できるだけ短く区切りましょう。字が汚い人は、要注意です。そして5W1Hを分かりやすく書きましょう。
 最後に、要約筆記ですが、例えば会議などで沢の聴覚障害者が参加するときはOHPに、1、2人ならばノートやメモ用紙に話しの要約を書き入れます。書く人は一人では手薄なので、2人のことが多いようです。前もって略字、略号を使うということを教え、なるべく速く書きましょう。要点を書かなければ行けないので、要点を聞き取りましょう。字をきれいにしましょう。前置きや、2度言ったり、言いかえたり、接続をしたり、修飾をしたりする言葉など、口語特有の本論に関係のないものは省略してもかまいません。 
 どのコミュニケーションであれ、お互いに分かりやすいものを選び、本当に伝わっているのか、相手のことを考える必要があります。

提案 ページの先頭へ

 まず、学校に障害者をという提案には、「手話を修得するためには、そのために時間を作る必要がある」という意見があるかもしれませんが、例えば英語の時間に手話を習えば、十分に手話を習う時間が取れます。それを休み時間に同じクラスの人に教えれば、良いコミュニケーションになります。つまり、同じ学校にある程度以上の聴覚障害者が通っていれば十分可能なのです。 
 次に、障害者の程度に合わせて資格を取得できるようにしましょう。コミュニケーションがとれるから就職できるのに、なぜ医者は駄目なのかなどの疑問がつきません。絶対欠格条項(どんなことがあってもなれない)ではなく、障害に合わせて、別に面接などの代替手段をこうじるべきです。
 そして、障害者の就職を促進するために、会社と(聾)学校との連携を充実させましょう。聾学校があるのであれば、聾学校と地域の会社で、「このような人材が欲しい」「わが社では、このような対策を取っている」などの情報公開の場を設けたり、ネットワーク上でつながったりすることで、多様な就職の機会均等が行われるでしょう。
 最後に、手話を第2外国語として習えるようにしましょう。フランス語、ドイツ語よりも、身の回りにいる人との交流をまずは充実させてからにしませんか?手話通訳者が増えれば、聴覚障害者とのコミュニケーションがよりスムーズになります。


参考ホームページ、その他

市田 泰弘様 「手話文法研究所」
<http://jsl.gn.to/>

2000 (2000年12月)

日本手話学会事務局様 「日本手話学会」
<http://www.deaf.or.jp/jasl/>

2000 (2000年12月)

筑波技術短期大学様 「聴覚障害者とのコミュニケーション」
筑波技術短期大学
<http://www.tsukuba-tech.ac.jp/docs/comij.htm>

2000 (2000年12月)

リンク集に登録済日本障害者リハビリテーション協会様 「聴覚障害者の資格制限について」
身体障害者の日常生活環境の向上に関する調査研究事業
<http://www.dinf.ne.jp/doc/thes/z00/z00008/z0000805.htm>

1996 (2000年12月)

リンク集に登録済World Nature Network様 「聴覚障害者が感じる不便さ」
World Nature Network
<http://www.wnn.or.jp/wnn-h/tisiki/tisikia41.html>

2000 (2000年12月)

Kiyo様 「聴覚障害者の日常生活の不便さってどんなこと?」
ボランティア学習クラブ
<http://homepage1.nifty.com/kiyochan/>

1999 (2000年12月)

岩渕紀雄様 「聴覚障害者と通信装置」
障害者保健福祉研究情報システム
<http://www.dinf.ne.jp/doc/prdl/jsrd/rehab/rhb001/r082_018.htm>

1998 (2000年12月)

リンク集に登録済畠山卓朗様 「聴覚障害者のための情報環境」
Assistive Technology の世界
<http://homepage2.nifty.com/htakuro/paper/choukakuInf/choukakuInfo.html>

1995(2000年12月)

財団法人共用品推進機構様 「E&Cプロジェクト」
<http://www.eandc.org/index.html>

2000 (2000年12月)


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