TOPIC 3-2.世界の難民救援活動

第二次世界大戦、東西冷戦を経た現在において、民族的、宗教的な対立などによる紛争が世界各地多発し、難民問題は一層深刻化しました。
こうした難民問題は、難民の生存を確保し、人間としての尊厳を回復する、といった人道上から問題であるだけでなく、難民流出国やその周辺地域ひいては世界全体の平和と安定に大きな影響を及ぼしかねない国際問題となっており、国際社会で一致協力して取り組むべき重要課題の一つとなっています。

<各団体の取り組み>
 
紛争により発生した難民などの救援や、紛争によって生じた被害の復旧のために、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や赤十字・赤新月関連機関、NGO、PKOなど様々な機関が人道的精神に基づく救援活動を行っています。

1.国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
1951年に設立されたUNHCRは、人道的な立場から、国籍国の保護を失った難民に「国際的な保護」を与え、同時に食料・医療・住居などの援助を行うこと、そして難民問題の解決をはかることを任務としています。
難民問題の解決法として、前述のような第二次世界大戦や冷戦などによる大規模な難民流出の経験から本国帰還をもっとも望ましい方法としています。しかし、その場合、本国帰還後の彼らの人権が心配されます。また、本国の平和が確立されなければなりません。要するに、帰国後の彼らに安全な場の保障をしなければ、本国帰還が望ましいとは言えません。 これは現実には大変難しいことでしょうが、カンボジアやモザンビークのように難民の帰還が実現し、国が復興に向けて動き始めた例もあるのです。
難民が帰還する場合、UNHCRではまず、バスや船、列車、時には飛行機など移動の手段を提供します。帰還先で生活に必要な生活用品や農具を配給したり、帰還後のある一定期間、食糧や現金を支給することもあります。ここ数年、帰還民のいるコミュニティ全体にすぐに役立つような、小規模ですが即効性のあるプロジェクト(QIPS)−家の土台を作るためのレンガづくり、学校建設、コミュニティ・センターづくりなど−に力を入れてきました。また、難民が大量に流入した場合には、受け入れ国に著しい環境破壊を引き起こすことが少なくありません。難民が、煮炊きや家づくりに薪(たきぎ)を集めたり木々を切り倒したりするからです。これを防ぐため、UNHCRでは、難民に熱効率の良いコンロを配給したり、植林計画を実施して環境の保全に努めています。このような実際の救援活動の際、UNHCRだけでなく、さまざまな国連機関が参加します。

2.国際赤十字連盟
「国際赤十字連盟」は、その中の一つで、UNHCRと完全な共同事業を行っています。1956年のハンガリー動乱の際、UNHCRが難民が流入したオーストラリア政府に協力して、国連の活動を全体的に調整したのに対し、国際赤十字連盟は、現地での直接の救援事業の調節を行いました。このように、援助がバラバラのものとなってしまわないよう、統一性を持たせているのです。

3.国連平和維持活動(PKO)
国連平和維持活動(PKO)は、国連が主体となって実施する国際的な紛争の平和的解決に寄与することを目的とした活動で、国際の平和と安全の維持のために大きな貢献をしてきています。 それは、「国際の平和と安全の維持」を大きな目的の一つとして発足しました。 紛争当事国や対立する当事者の同意の下に、国連によって組織された平和維持隊(Peace Keeping Force:略称PKF、各国部隊で編成)による停戦監視・兵力引き離し、停戦監視団(原則非武装の軍人で構成)による停戦監視といったものが伝統的ですが、最近は、文民(選挙監視要員、文民警察官など)による選挙監視、人権監視などの行政的支援活動も行われています。1948年に国連休戦監視機構(UNTSO)が創設されて以来、2000年4月現在までに53のPKOが設立されています。



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