形容詞の活用

形容詞も活用します。
そして、そこは古文と現代文、やっぱり違いが有るのです。
でも、そんなにややこしいことは無いので大丈夫!
形容詞について勉強してみましょう。

古文て何?という方たちへの紹介・説明です。ずばり古文とは何か?について書かれてあります。

◎古文の形容詞

前項では動詞の活用について勉強しました。形容詞も、古文と現代文とでは活用の仕方に違いが有ります。でも、動詞の活用ほど種類も無いですし、ルールも簡単な物なので、わりかしすんなり理解できる部分だと思います、では見てみましょう。形容詞とは、現代語で言うと、

「白い」「うつくしい」「はげしい」

などの「〜い」で終わる、物や人の状態を表す言葉です。古文形容詞への変化の仕方には動詞と同様に鉄則があります。それは、「〜い」の「い」を「し」に変えて、「〜し」で言い切る、というもの。
実際にはどういうことか、考えていきます。上の形容詞を古文の形にすると、

「白し」「うつくし」「はげし」

になります。
「白し」「うつくし」は古文形容詞の終止形です。「い」を「し」に変えるわけですから、

「白い」→「い」を「し」に→「白し」

簡単ですよね。でも、この場合「うつくしい」だと、最後の「い」を「し」に変えてしまうと「うつくしし」と、変な形容詞が出来てしまいます。
そのため、「うつくしい」など、「〜しい」で終わる形容詞は、最後の「い」を取ってしまうだけでいいのです。

「うつくしい」→「しい」の「い」を取って→「うつくし」
「はげしい」→「しい」の「い」を取る→「はげし」

とにかく、「〜し」で言い切る。これを覚えてしまえばOKです。

◎形容詞の活用の仕方 (ク活用・シク活用)

活用の名前ですが、「白い」のように「〜い」で終わり、「い」を「し」に変えるだけのものは、ク活用「うつくしい」などの「い」を取る活用はシク活用といいます。
形容詞にも、動詞と同じように未然、連用、終止、連体・・・などの活用があります。ここで新しく覚えて欲しいのは、形容詞には一つの動詞に
二つの活用があって、未然形は「〜ず」ともうひとつ「〜ば」の二つになるということです。
「白し」に「〜ば」を付けてみてください。・・・「白くば」、になりますよね。「うつくし」だったら、「うつくしくば」。

「白し」は、未然形の「〜ば」が付いたとき
「白くば」、と「く」になるのでク活用、「うつくしい」は「うつくしくば」と「しく」になるのでシク活用というのです。
「〜ず」を付けて未然形に活用させるのはカリ活用といいます。活用表を見てください。

基本形 未然(ば・ず) 連用(て) 終止(。) 連体(こと) 已然(ど) 命令 活用
白し 白く(ば)
白から(ず)
白く(て)
白かり
(て)
白し(。)
白し
(。)
白き(こと)
白かる(こと)
白けれ(ど)
  
  ○
白かれ
ク活用
カリ活用
うつくし 美しく(ば)
美しから(ず)
美しく
美しかり
うつくし
うつくし
美しき
美しかる
美ししけれ
  
  ○
美しかれ
シク活用
カリ活用


この色になっている、下側の活用が、カリ活用です。○になっているところは「なし」という意味。カリ活用には已然形が、動詞のような普通の活用、ク活用、シク活用には命令形がありません
カリ活用はク活用、シク活用とは異なった活用をしていますが、これは意味をもたせる助動詞につく際に言いにくかったため、

白く+あら(ラ変)+ず(助動詞・打ち消し)⇒白からず

とラ変動詞を間に入れうまく続くようにしたものというわけです。確かに、白くあらず白くあらずと言うとなると、「白からず」したくなりますね。このカリ活用は、ク活用、シク活用に含まれたものだと考えておいてください。
形容詞の活用は種類も少なく単純なので、覚えやすいと思います。
例を挙げておきます。

基本形 未然(ば・ず) 連用(て) 終止(。) 連体(こと) 已然(ど) 命令 活用
寒し 寒く
寒から
寒く
寒かり
寒し
寒し
寒き
寒かる
寒けれ
  
  ○
寒かれ
ク活用
カリ活用
よし よく
よから
よく
よかり
よし
よし
よき
よかる
よけれ
  
  ○
よかれ
ク活用
カリ活用
楽し 楽しく
楽しから
楽しく
楽しかり
楽し
楽し
楽しき
楽しかる
楽しけれ
  
  ○
楽しかれ
シク活用
カリ活用
騒がし 騒がしく
騒がしから
騒がしく
騒がしかり
騒がし
騒がし
騒がしき
騒がしかる
騒がしけれ
  
  ○
騒がしかれ
シク活用
カリ活用

古文の時代の形容詞について、分かりましたでしょうか。現代語と同じ表現も多々見られますよね。また、形容詞についてしっかり勉強することの出来た方は、一寸法師の原文を動詞、助動詞、形容詞に色分けした、『原文カラー』を用意しましたのでどうぞまた原文を読みなおしてみてください。次は係り結びです。

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