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銀河鉄道の夜大辞典 表現集

■色彩の世界

青白いあかり、桔梗いろの空、黄金と紅でうつくしくいろどられた大きな苹果…
色彩の世界を、色彩別にご覧ください。
そして想像してみてください。銀河鉄道の世界に広がる様々なものを…。


* * 桔梗色 * * * * * * * 鼠色 * *  




一、午后の授業

・ちょうど水が深いほど青く見えるように、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集って見えしたがって白くぼんやり見えるのです。

二、活版所

・こんやの星祭に青いあかりをこしらえて川へ流す烏瓜
青い胸あてをした人がジョバンニのうしろを通りながら、

三、家

・レールを七つ組み合せると円くなってそれに電柱や信号標もついていて信号標のあかりは汽車が通るときだけ青くなるようになっていたんだ。

四、ケンタウル祭の夜

・坂の下に大きな一つの街燈が、青白く立派に光って立っていました。
・いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子の盤に載って
・円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。
・街燈はみなまっ青なもみや楢の枝で包まれ、
青いマグネシヤの花火を燃したりして、

五、天気輪の柱

・草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉は青くすかし出され、ジョバンニは、さっきみんなの持って行った烏瓜のあかりのようだとも思いました。
・ジョバンニは青い琴の星が、三つにも四つにもなって、ちらちら瞬き、脚が何べんも出たり引っ込んだりして、とうとう蕈のように長く延びるのを見ました。

六、銀河ステーション

・それ(天気輪の柱)はだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青のそらの野原にたちました。いま新らしく灼いたばかりの青い鋼の板のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと立ったのです。
・車室の中は、青い天蚕絨を張った腰掛けが、まるでがら明きで、
・カムパネルラは、なぜかそう云いながら、少し顔いろが青ざめて、どこか苦しいというふうでした。
・一一の停車場や三角標、泉水や森が、や橙や緑や、うつくしい光でちりばめられてありました。
青白く光る銀河の岸に、銀いろの空のすすきが、もうまるでいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波を立てているのでした。
・燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。遠いものは小さく、近いものは大きく、遠いものは橙や黄いろではっきりし、近いものは青白く少しかすんで、
・そのきれいな野原中のや橙や、いろいろかがやく三角標も、てんでに息をつくように、ちらちらゆれたり顫えたりしました。
・小さなきれいな汽車は、そらのすすきの風にひるがえる中を、天の川の水や、三角点の青じろい微光の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。

七、北十字とプリオシン海岸

・ぼうっと青白く後光の射した一つの島
・向う岸も、青じろくぽうっと光ってけむり、
・さわやかな秋の時計の盤面には、青く灼かれたはがねの二本の針が、くっきり十一時を指しました。
・そこから幅の広いみちが、まっすぐに銀河の青光の中へ通っていました。
・河原の礫は、みんなすきとおって、たしかに水晶や黄玉や、またくしゃくしゃの皺曲をあらわしたのや、また稜から霧のような青白い光を出す鋼玉やらでした。
・見ると、その白い柔らかな岩の中から、大きな大きな青じろい獣の骨が、横に倒れて潰れたという風になって、半分以上掘り出されていました。

八、鳥を捕る人

・黄と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかる雁が、ちょうどさっきの鷺のように、くちばしを揃えて、少し扁べったくなって、ならんでいました。
・鳥捕りが、黄いろと青じろの、うつくしい燐光を出す、いちめんのかわらははこぐさの上に立って、まじめな顔をして両手をひろげて、じっとそらを見ていたのです。
・鷺のちぢめて降りて来る黒い脚を両手で片っ端から押えて、布の袋の中に入れるのでした。すると鷺は、蛍のように、袋の中でしばらく、青くぺかぺか光ったり消えたりしていましたが、おしまいとうとう、みんなぼんやり白くなって、眼をつぶるのでした。

九、ジョバンニの切符

・眼もさめるような、宝玉と黄玉の大きな二つのすきとおった球が、輪になってしずかにくるくるとまわっていました。
・黄いろのがだんだん向うへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進んで来、間もなく二つのはじは、重なり合って、きれいな緑いろの両面凸レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみ出して、とうとう青いのは、すっかりトパースの正面に来ましたので、緑の中心と黄いろな明るい環とができました。
・三つならんだ小さな青じろい三角標
・野原のはてはそれらがいちめん、たくさんたくさん集ってぼおっと青白い霧のよう
・川下の向う岸に青く茂った大きな林が見え
・河原の青じろいあかりの上に、黒い鳥がたくさんたくさんいっぱいに列になってとまってじっと川の微光を受けているのでした。
・青年はさっと顔いろが青ざめ
青い橄欖の森が見えない天の川の向うにさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまい
・さっさっと青じろく時々光ってその孔雀がはねをひろげたりとじたりする光の反射
・両手に赤との旗をもってそらを見上げて信号しているのでした。ジョバンニが見ている間その人はしきりに赤い旗をふっていましたが俄かに赤旗をおろしてうしろにかくすようにし青い旗を高く高くあげてまるでオーケストラの指揮者のように烈しく振りました。
・赤帽の信号手がまた青い旗をふって叫んでいたのです
・あすこの岸のずうっと向うにまるでけむりのような小さな青い火が見える。あれはほんとうにしずかでつめたい。
・正面の青じろい時計はかっきり第二時を示しその振子は風もなくなり汽車もうごかずしずかなしずかな野原のなかにカチッカチッと正しく時を刻んで行くのでした。
・クリスマストリイのようにまっ青な唐檜かもみの木がたってその中にはたくさんのたくさんの豆電燈がまるで千の蛍でも集ったようについていました。
・みんなほんとうに別れが惜しそうでその顔いろも少し青ざめて見えました。
・ああそのときでした。見えない天の川のずうっと川下にや橙やもうあらゆる光でちりばめられた十字架がまるで一本の木という風に川の中から立ってかがやきその上には青じろい雲がまるい環になって後光のようにかかっているのでした。
・そしてだんだん十字架は窓の正面になりあの苹果の肉のような青じろい環の雲もゆるやかにゆるやかに繞っているのが見えました。
青じろい尖ったあごをしたカムパネルラのお父さんが黒い服を着てまっすぐに立って右手に持った時計をじっと見つめていたのです。




一、 午后の授業

・ジョバンニはもうどぎまぎしてまっ赤になってしまいました
・ジョバンニはまっ赤になってうなずきました。

四、ケンタウル祭の夜

・一秒ごとに石でこさえたふくろうの赤い眼が、くるっくるっとうごいたり、
・その人は、赤い眼の下のとこを擦りながら、ジョバンニを見おろして云いました。
・ジョバンニはまっ赤になって、もう歩いているかもわからず、急いで行きすぎようとしましたら、

六、銀河ステーション

・その小さな列車の窓は一列小さく赤く見え、

八、鳥を捕る人

・茶いろの少しぼろぼろの外套を着て、白い巾でつつんだ荷物を、二つに分けて肩に掛けた、髯のせなかのかがんだ人でした。
ひげの人が、少しおずおずしながら、二人に訊きました。
・カムパネルラも、つい顔を赤くして笑いだしてしまいました。
・カムパネルラも、顔をまっ赤にして何か思い出そうとしているのでした。

九、ジョバンニの切符

赤い帽子をかぶったせいの高い車掌
・ジョバンニが赤くなって答えながらそれをまた畳んでかくしに入れました。
赤いジャケツのぼたんもかけずひどくびっくりしたような顔をしてがたがたふるえてはだしで立っていました。
・その枝には熟してまっ赤に光る円い実がいっぱい
・一人の寛い服を着て赤い帽子をかぶった男が立っていました
・両手にと青の旗をもってそらを見上げて信号しているのでした。ジョバンニが見ている間その人はしきりに赤い旗をふっていましたが俄かに赤旗をおろしてうしろにかくすようにし青い旗を高く高くあげてまるでオーケストラの指揮者のように烈しく振りました。
・俄かに赤い旗をあげて狂気のようにふりうごかしました。
帽の信号手がまた青い旗をふって叫んでいたのです
・その葉はぐるぐるに縮れ葉の下にはもう美しい緑いろの大きな苞が赤い毛を吐いて真珠のような実もちらっと見えたのでした。
・その立派なちぢれた葉のさきからはまるでひるの間にいっぱい日光を吸った金剛石のように露がいっぱいについてや緑やきらきら燃えて光っているのでした。
・うすあかい河原なでしこの花があちこち咲いていました。
・川の向う岸が俄かに赤くなりました。楊の木や何かもまっ黒にすかし出され見えない天の川の波もときどきちらちら針のように赤く光りました
・まったく向う岸の野原に大きなまっ赤な火が燃されその黒いけむりは高く桔梗いろのつめたそうな天をも焦がしそうでした
・ルビーよりも赤くすきとおりリチウムよりもうつくしく酔ったようになってその火は燃えているのでした
・あんな赤く光る火は何を燃やせばできるんだろう
まっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしている
・向うの河岸に二本の電信ばしらが丁度両方から腕を組んだように赤い腕木をつらねて立っていました
・そしてたったいま夢であるいた天の川もやっぱりさっきの通りに白くぼんやりかかりまっ黒な南の地平線の上では殊にけむったようになってその右には蠍座の赤い星がうつくしくきらめき、そらぜんたいの位置はそんなに変ってもいないようでした

 




六、銀河ステーション

・夜の軽便鉄道の、小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、
・燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。遠いものは小さく、近いものは大きく、遠いものは橙や黄いろではっきりし、近いものは青白く少しかすんで、


八、鳥を捕る人

と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかる雁が、ちょうどさっきの鷺のように、くちばしを揃えて、少し扁べったくなって、ならんでいました。
・鳥捕りは、黄いろな雁の足を、軽くひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。
・鳥捕りが、黄いろと青じろの、うつくしい燐光を出す、いちめんのかわらははこぐさの上に立って、まじめな顔をして両手をひろげて、じっとそらを見ていたのです。

九、ジョバンニの切符

・眼もさめるような、青宝玉と玉の大きな二つのすきとおった球が、輪になってしずかにくるくるとまわっていました。
いろのがだんだん向うへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進んで来、間もなく二つのはじは、重なり合って、きれいな緑いろの両面凸レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみ出して、とうとう青いのは、すっかりトパースの正面に来ましたので、緑の中心と黄いろな明るい環とができました。
・サファイアは向うへめぐり、黄いろのはこっちへ進み、また丁度さっきのような風になりました。
・百も千もの大小さまざまの三角標、その大きなものの上には赤い点点をうった測量旗も見え、
黄金と紅でうつくしくいろどられた大きな苹果
・だまってその譜を聞いていると、そこらにいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な蝋のような露が太陽の面を擦めて行くように思われました。

 

桔梗色


八、鳥を捕る人

・がらんとした桔梗いろの空から、さっき見たような鷺が、まるで雪の降るように、ぎゃあぎゃあ叫びながら、いっぱいに舞いおりて来ました。

九、ジョバンニの切符

・さまざまの形のぼんやりした狼煙のようなものが、かわるがわるきれいな桔梗いろのそらにうちあげられるのでした。
・美しい美しい桔梗いろのがらんとした空
・まったく向う岸の野原に大きなまっ赤な火が燃されその黒いけむりは高く桔梗いろのつめたそうな天をも焦がしそうでした。

 




六、銀河ステーション

・すきっとした金いろの円光をいただいて、しずかに永久に立っているのでした。

九、ジョバンニの切符

黄金と紅でうつくしくいろどられた大きな苹果
・ただたくさんのくるみの木が葉をさんさんと光らしてその霧の中に立ち黄金の円光をもった電気栗鼠が可愛い顔をその中からちらちらのぞいているだけでした。

 




六、銀河ステーション

・青白く光る銀河の岸に、銀いろの空のすすきが、もうまるでいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波を立てているのでした。

七、北十字とプリオシン海岸

・水にひたったとこが、少し水銀いろに浮いたように見え、

九、ジョバンニの切符

・硝子の呼子は鳴らされ汽車はうごき出しと思ううちに銀いろの霧が川下の方からすうっと流れて来てもうそっちは何も見えなくなりました。

 




一、 午后の授業

・黒板に吊した大きな黒い星座の図
・ まっ黒な頁いっぱいに白い点々のある美しい写真

四、ケンタウル祭の夜

・檜のまっ黒にならんだ町の坂
・いままでばけもののように、長くぼんやり、うしろへ引いていたジョバンニの影ぼうしは、だんだん濃く黒くはっきりなって、足をあげたり手を振ったり、ジョバンニの横の方へまわって来るのでした。
・円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。
・その牛乳屋の黒い門を入り、
黒い影やぼんやり白いシャツが入り乱れて、六七人の生徒らが、口笛を吹いたり笑ったりして、めいめい烏瓜の燈火を持ってやって来るのを見ました。
・まもなくジョバンニは黒い丘の方へ急ぎました。

五、天気輪の柱

・その黒い平らな頂上は、北の大熊星の下に、ぼんやりふだんよりも低く連って見えました。
まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く星あかりに照らしだされてあったのです。
・そのまっ黒な、松や楢の林を越えると、
・ジョバンニは町のはずれから遠く黒くひろがった野原を見わたしました。

六、銀河ステーション

・すぐ前の席に、ぬれたようにまっ黒な上着を着た、せいの高い子供が、窓から頭を出して外を見ているのに気が付きました。
・夜のようにまっ黒な盤の上に、
黒いバイブルを胸にあてたり、
・せいの高い、黒いかつぎをしたカトリック風の尼さんが、まん円な緑の瞳を、じっとまっすぐに落して、

七、北十字とプリオシン海岸

・岩から黒い細長いさきの尖ったくるみの実のようなものをひろいました。
・二人は、ぎざぎざの黒いくるみの実を持ちながら、

八、鳥を捕る人

・一つのあかりに黒い甲虫がとまってその影が大きく天井にうつっていたのです
・まっ白な、あのさっきの北の十字架のように光る鷺のからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、黒い脚をちぢめて、浮彫のようにならんでいたのです。
・渡り鳥どもが、まっ黒にかたまって、あかしの前を通るのですから仕方ありませんや。
・鷺のちぢめて降りて来る黒い脚を両手で片っ端から押えて、布の袋の中に入れるのでした。すると鷺は、蛍のように、袋の中でしばらく、青くぺかぺか光ったり消えたりしていましたが、おしまいとうとう、みんなぼんやり白くなって、眼をつぶるのでした。

九、ジョバンニの切符

・窓の外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物が四棟ばかり立って、
・銀河の、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測候所が、睡っているように、しずかによこたわったのです。
・いちめん黒い唐草のような模様の中に、おかしな十ばかりの字を印刷したものでだまって見ていると何だかその中へ吸い込まれてしまうような気がするのでした。
・つやつやした黒い髪の六つばかりの男の子
黒い洋服をきちんと着たせいの高い青年
・十二ばかりの眼の茶いろな可愛らしい女の子が黒い外套を着て青年の腕にすがって不思議そうに窓の外を見ているのでした
服の青年はよろこびにかがやいてその女の子に云いました。
・河原の青じろいあかりの上に、黒い鳥がたくさんたくさんいっぱいに列になってとまってじっと川の微光を受けているのでした。
・向う岸もまた黒いいろの崖が川の岸を下流に下るにしたがってだんだん高くなって行くのでした。
・全くもう車の中ではあの服の丈高い青年も誰もみんなやさしい夢を見ているのでした。
・突然とうもろこしがなくなって巨きな黒い野原がいっぱいにひらけました。
・新世界交響楽はいよいよはっきり地平線のはてから湧きそのまっ黒な野原のなかを一人のインデアンが白い鳥の羽根を頭につけたくさんの石を腕と胸にかざり小さな弓に矢を番えて一目散に汽車を追って来るのでした。
服の青年も眼をさましました。
・まったく向う岸の野原に大きなまっ赤な火が燃されその黒いけむりは高く桔梗いろのつめたそうな天をも焦がしそうでした。
・いままでカムパネルラの座っていた席にもうカムパネルラの形は見えずただ黒いびろうどばかりひかっていました。
・そしてたったいま夢であるいた天の川もやっぱりさっきの通りに白くぼんやりかかりまっ黒な南の地平線の上では殊にけむったようになってその右には蠍座の赤い星がうつくしくきらめき、そらぜんたいの位置はそんなに変ってもいないようでした。
・どんどん黒い松の林の中を通ってそれからほの白い牧場の柵をまわってさっきの入口から暗い牛舎の前へまた来ました。
・河原のいちばん下流の方へ州のようになって出たところに人の集りがくっきりまっ黒に立っていました。
・青じろい尖ったあごをしたカムパネルラのお父さんが黒い服を着てまっすぐに立って右手に持った時計をじっと見つめていたのです
・魚をとるときのアセチレンランプがたくさんせわしく行ったり来たりして黒い川の水はちらちら小さな波をたてて流れているのが見えるのでした。

 




一、午后の授業

・そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いもの
・上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところ
・このぼんやりと白い銀河を大きないい望遠鏡で見ますと、もうたくさんの小さな星に見えるのです。
・まっ黒な頁いっぱいに白い点々のある美しい写真
・ちょうど水が深いほど青く見えるように、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集って見えしたがって白くぼんやり見えるのです。
・こっちやこっちの方はガラスが厚いので、光る粒即ち星がたくさん見えその遠いのはぼうっと白く見えるというこれがつまり今日の銀河の説なのです。

二、活版所

・大きな活版処にはいってすぐ入口の計算台に居ただぶだぶの白いシャツを着た人におじぎをして

三、家

・ジョバンニのお母さんがすぐ入口の室に白い巾を被って寝んでいたのでした。

四、ケンタウル祭の夜

・黒い影やぼんやり白いシャツが入り乱れて、六七人の生徒らが、口笛を吹いたり笑ったりして、めいめい烏瓜の燈火を持ってやって来るのを見ました。

五、天気輪の柱

・まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く星あかりに照らしだされてあったのです。
・あああの白いそらの帯がみんな星だというぞ。

六、銀河ステーション

・その中に、白くあらわされた天の川の左の岸に沿って一条の鉄道線路が、南へ南へとたどって行くのでした。

七、北十字とプリオシン海岸

・俄かに、車のなかが、ぱっと白く明るくなりました。
・その島の平らないただきに、立派な眼もさめるような、白い十字架がたって、
・早くも、シグナルの緑の燈と、ぼんやり白い柱とが、ちらっと窓のそとを過ぎ、
・二人がその白い道を、肩をならべて行きますと、
・すすきのいっぱいに生えている崖の下に、白い岩が、まるで運動場のように平らに川に沿って出ているのでした。
・見ると、その白い柔らかな岩の中から、大きな大きな青じろい獣の骨が、横に倒れて潰れたという風になって、半分以上掘り出されていました。

八、鳥を捕る人

・茶いろの少しぼろぼろの外套を着て、白い巾でつつんだ荷物を、二つに分けて肩に掛けた、赤髯のせなかのかがんだ人でした。
まっ白な、あのさっきの北の十字架のように光る鷺のからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、黒い脚をちぢめて、浮彫のようにならんでいたのです。
・カムパネルラは、指でそっと、鷺の三日月がたの白い瞑った眼にさわりました。頭の上の槍のような白い毛もちゃんとついていました。
・鷺のちぢめて降りて来る黒い脚を両手で片っ端から押えて、布の袋の中に入れるのでした。すると鷺は、蛍のように、袋の中でしばらく、青くぺかぺか光ったり消えたりしていましたが、おしまいとうとう、みんなぼんやり白くなって、眼をつぶるのでした。

九、ジョバンニの切符

・鷺をつかまえてせいせいしたとよろこんだり、白いきれでそれをくるくる包んだり、
・網棚の上には白い荷物も見えなかったのです。
・外はいちめんのうつくしい砂子と白いすすきの波ばかり、あの鳥捕りの広いせなかも尖った帽子も見えませんでした。
・あの立派な川、ね、あすこはあの夏中、ツインクル、ツインクル、リトル、スター をうたってやすむとき、いつも窓からぼんやり白く見えていたでしょう。
・だまってその譜を聞いていると、そこらにいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な蝋のような露が太陽の面を擦めて行くように思われました。
・天の川もまるで遠くへ行ったようにぼんやり白く見えるだけでした。
・新世界交響楽はいよいよはっきり地平線のはてから湧きそのまっ黒な野原のなかを一人のインデアンが白い鳥の羽根を頭につけたくさんの石を腕と胸にかざり小さな弓に矢を番えて一目散に汽車を追って来るのでした。
・にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ倒れるようになりインデアンはぴたっと立ちどまってすばやく弓を空にひきました。
・その柱のようになった水は見えなくなり大きな鮭や鱒がきらっきらっと白く腹を光らせて空中に抛り出されて円い輪を描いてまた水に落ちました。
・女の子や青年たちがその前の白い渚にまだひざまずいているのかそれともどこか方角もわからないその天上へ行ったのかぼんやりして見分けられませんでした。
・そこはぼんやり白くけむっているばかりどうしてもカムパネルラが云ったように思われませんでした。
・そしてたったいま夢であるいた天の川もやっぱりさっきの通りに白くぼんやりかかりまっ黒な南の地平線の上では殊にけむったようになってその右には蠍座の赤い星がうつくしくきらめき、そらぜんたいの位置はそんなに変ってもいないようでした。
・どんどん黒い松の林の中を通ってそれからほの白い牧場の柵をまわってさっきの入口から暗い牛舎の前へまた来ました。
白い太いずぼんをはいた人
白い服を着た巡査

 




六、銀河ステーション

・一一の停車場や三角標、泉水や森が、青やや緑や、うつくしい光でちりばめられてありました。
・燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。遠いものは小さく、近いものは大きく、遠いものはや黄いろではっきりし、近いものは青白く少しかすんで、
・そのきれいな野原中の青やや、いろいろかがやく三角標も、てんでに息をつくように、ちらちらゆれたり顫えたりしました。
 
七、北十字とプリオシン海岸

・ああ、そうだ、ぼくのおっかさんは、あの遠い一つのちりのように見える橙いろの三角標のあたりにいらっしゃって、いまぼくのことを考えているんだった。
・早くも、シグナルの緑のと、ぼんやり白い柱とが、ちらっと窓のそとを過ぎ、

九、ジョバンニの切符

・ああそのときでした。見えない天の川のずうっと川下に青ややもうあらゆる光でちりばめられた十字架がまるで一本の木という風に川の中から立ってかがやきその上には青じろい雲がまるい環になって後光のようにかかっているのでした。

 




八、鳥を捕る人

茶いろの少しぼろぼろの外套を着て、白い巾でつつんだ荷物を、二つに分けて肩に掛けた、赤髯のせなかのかがんだ人でした。

九、ジョバンニの切符

・十二ばかりの眼の茶いろな可愛らしい女の子

 

鼠色


六、銀河ステーション

・向うの鼠いろのワニスを塗った壁には、真鍮の大きなぼたんが二つ光っているのでした。

九、ジョバンニの切符

・小さな鼠いろの切符
・折角剥いたそのきれいな皮も、くるくるコルク抜きのような形になって床へ落ちるまでの間にはすうっと、灰いろに光って蒸発してしまうのでした
・もう烏瓜のあかりもない川が、わずかに音をたてて灰いろにしずかに流れていたのでした。

 




七、北十字とプリオシン海岸

・一一の停車場や三角標、泉水や森が、青や橙やや、うつくしい光でちりばめられてありました。
・せいの高い、黒いかつぎをしたカトリック風の尼さんが、まん円な緑の瞳を、じっとまっすぐに落して、
・早くも、シグナルのの燈と、ぼんやり白い柱とが、ちらっと窓のそとを過ぎ、

九、ジョバンニの切符

・間もなく二つのはじは、重なり合って、きれいな緑いろの両面凸レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみ出して、とうとう青いのは、すっかりトパースの正面に来ましたので、緑の中心と黄いろな明るい環とができました。
・四つに折ったはがきぐらいの大きさの緑いろの
・だまってその譜を聞いていると、そこらにいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な蝋のような露が太陽の面を擦めて行くように思われました。
・小さく小さくなっていまはもう一つの緑いろの貝ぼたんのように見える森
・その葉はぐるぐるに縮れ葉の下にはもう美しい緑いろの大きな苞が赤い毛を吐いて真珠のような実もちらっと見えたのでした。
・その立派なちぢれた葉のさきからはまるでひるの間にいっぱい日光を吸った金剛石のように露がいっぱいについて赤ややきらきら燃えて光っているのでした。
・二人がそのあかしの前を通って行くときはその小さな豆いろの火はちょうど挨拶でもするようにぽかっと消え二人が過ぎて行くときまた点くのでした。

 




六、銀河ステーション

・きれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、虹のようにぎらっと光ったりしながら、

七、北十字とプリオシン海岸

・改札口には、明るい紫がかった電燈が、一つ点いているばかり、



----------------------------その他の世界----------------------------

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