〜 ブルースについて(前半)

前半 / 後半

- ブルース音楽とは -
 ブルースとは、アフリカ系アメリカ人が演奏した大衆的な音楽のことだ。ブルースで歌われる歌詞は、生きる苦しみや色恋についてなど身近なことが多い。ブルースは、1890年頃にアメリカの黒人が生み出した音楽だ。カントリー・ブルース、ブギウギ、クラシック・ブルース、シカゴ・ブルース、モダン・ブルースなど色々な種類に派生していった。また、ジャズ、ゴスペル、ロック&ロールなどの他の音楽にも影響を与えた。

ブルースを聴いてみよう
( 声のパートは入っていません。アコースティックギターによるカントリーブルース(後述)風のブルースプレイです。)

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Q1. アフリカ系アメリカ人とはどのような人々のことですか?
A1. アメリカ合衆国に住む黒人のことです。1500年頃〜1800年頃まで行われていた奴隷貿易によってアフリカ大陸からアメリカ大陸に連れてこられたアフリカ人の子孫がアフリカ系アメリカ人と呼ばれています。アメリカと同様にブラジルにも多くのアフリカ系のブラジル人が存在します。奴隷貿易で商品として強制的に新しい土地に連れてこられた人々は数多くいました。
→ 詳細はアフリカ系アメリカ人の歴史についての説明のページで

Q2. ゴスペルとはなんですか?
A2. アメリカの宗教的な歌のスタイルのことです。イエス・キリストを賛美する歌や「魂の救済」を求める歌などがあります。ゴスペルには黒人によって歌われるスタイルがあります。人種差別によって苦しんでいた黒人が歌っていました。
  ブルースと決定的に違う点は、ゴスペルはキリスト教に基づいて救い主(イエス・キリスト)に助けを求める内容であったのに対して、ブルースは日常的の出来事を歌ったことです。

>- EXAMPLE -<
ゴスペルとブルースの歌詞の比較例です。厳しい生活の中で演奏された二つの音楽ですが、大分違うことがわかります。

  ゴスペル「With grace and mercy, Jesus will put light in our life. How amazing!」
 (恵みと哀れみを持った主は、生きることに明かりをもたらしてくれよう。なんて素晴らしいことなのだ。)
 
 ブルース「When I woke up in the morning, I realized that my wife had gone. I wonder where she is!」
 (朝起きたら俺の妻がどっかにいっちまっていた。今は一体にどこにいやがるんだ?)

# 歌詞及び訳は、ブルースとゴスペルの比較の例ですので、実際このような歌詞で歌われているかどうか保証できません。

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〜 ブルースの音楽的な特徴 〜
 使用されるコードは、調の主音をルート音とする和音(I)と、4度音の和音(IV)、5度の和音(V)、ほとんどこの三つだけだ。これらは、いわゆるスリーコードと呼ばれるコードで、それに短7度の音を付け加えたセブンスコードが使用されることが特徴的だ。このセブンスコードは泥臭い雰囲気をブルースに与える。典型的なコード進行は、第1フレーズがI-I-I-I、第2フレーズがIV-IV-I-I、第3フレーズがV-V-I-I (V-IV-I-I)だ。

Q3. セブンスコードとはどのようなコードですか?
A3. コードとは音の組み合わせのことです。クラシック音楽などではコードという概念はありませんが、ポップスやジャズ、ブルースなどの音楽ではコードというものが音楽を構成する重要な要素です。
 一番基本的なコードとは、メジャーコードとマイナーコードです。例えば、ド(C)を基本の音とすると、ミ(E)とソ(G)を重ねるとCメジャーと呼ばれるコードになります。また、ド(C)を基本の音とし、上にミ♭(E♭)とソ(G)を重ねるとCマイナーと呼ばれるコードになります。Cメジャーは明るい素直な響きがし、Cマイナーは少し暗い響きがします。
 ブルースで使われるセブンスコードとは、メジャーコードに一つ音(短7度)を足すことによって作られるコードです。このコードの響きは不安定で変わった響きです。ブルースがこのような不安定なコードを使うのは、黒人が労働の苦しみを表すためだと思います。

メジャーコード、マイナーコード、センブンスコードを聞いてみよう!


Q4.
典型的なコード進行とは一体どのようなものですか?
A4. ブルースのコード進行はとてもシンプルです。音楽を構成する三つの基本的なコード(トニックコード・ドミナントコード・サブドミナントコード)を決まった形で循環するのです。このために、音楽教育を受けていなかった当時の黒人奴隷達にも演奏されやすかったのでしょう。

スリーコードを聞いてみよう!