〜 ブルースについて(後半)

前半 / 後半

〜 歌と伴奏の独特なタイミング 〜
  歌が止まるたびに楽器のアドリブ演奏がはさみこまれるので、歌と楽器が交互に掛け合う。これはコール&レスポンスと呼ばれるブルース特有の形式だ。

  ブルースで使われる音階にはブルーノートと呼ばれる音が存在する。主音から長3度の音を通常の長四度に比べてわずかに低い音で演奏する。12音階を使う西洋音楽にはない音の使い方である。

Q5. ブルーノートとはどのような音なのですか?
A5. 「ブルーノート」には色々な定義があります。ここで指しているブルーノートとは、ブルースにしか使われない特殊な音のことです。
 具体的には次のファイルを聴いてください。この演奏ファイルにはたくさんのブルース的な音使いが入っています。

ブルースの音使いを聴いてみよう
( このサンプルはギター一本でベースラインとメロディを奏でるブルースソロギター奏法です。初期のブルースはこのような単純なスタイルが主でした。)

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 ブルースは黒人奴隷の労働歌である。初期のブルースである「カントリー・ブルース」は、一定の形式をもたない。ギターやハーモニカの伴奏で歌われることが多かった。ブラインド・レモン・ジェファソン(1890〜30年)がカントリー・ブルース演奏者として知られている。ブルースは、黒人の奴隷時代の苦しさにも関係があるが、むしろ奴隷廃止後のアメリカ内での黒人を取り囲む劣悪な環境が読み取れる。彼らは、自分達の感情を、音楽を通して表現した。演奏中には歌うだけではなく、「叫び」、「泣き」、「うなり」、「わめき」自分達を表現した。辛い生活の中でアフリカ系アメリカ人は慰めと楽しさを見つけ出したのだ。黒人の魂からの音楽がブルースなのである。

Q6. 初期のブルースではギターやハーモニカが使われたとありますが、どのように演奏されたのですか?ギターやハーモニカとは一体どのような種類のものなのですか?
A6. 初期のブルースは演奏者一人がギターを弾き、さらに歌うという弾き語りのスタイルが一般的でした。ハーモニカで伴奏することもあります。ギターもハーモニカも生の音をそのまま使っていました。

>イラスト<
アコースティックギターとハーモニカ

Q7. ブルースが演奏し始められたころ、アフリカ系アメリカ人はどのような環境にいたのですか?
A7.アフリカ系アメリカ人の歴史を見てください。

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〜 カントリー・ブルース(ダウンホーム・ブルース)
 1890年代にミシシッピ州のデルタと東テキサスで発生したといわれているのがカントリー・ブルースだ。そのスタイルは一人の歌い手がアコースティックギターを伴奏にしながら歌う。ベンドと呼ばれるギターの音を引き上げるテクニックや、スライド奏法と呼ばれるガラスのボトルを使った特殊奏法と使うなど、それぞれのブルースマンが独自のスタイルを持っていた。フィンガーピッキング奏法という指を使っての伴奏もある。

Q8. ミシシッピ州デルタとはどこですか?
A8.

Q9. ベンド、スライド奏法、フィンガーピッキング奏法とは一体どのようなものですか?
A9. ベンドとはギターの弦を押し上げて、音を高くつりあげることです。B.B. Kingと呼ばれるブルースギタリストが発明したと言われています。人々はベンドと呼ばれる奏法で感情を表現しようとしました。スライド奏法やフィンガーピッキング奏法もそれぞれギター特有の奏法です。

ブルースを聴いてみよう
( アコースティックギターによるカントリーブルース風のブルースプレイです。全ページでも掲載しています。)

 チャーリ・パットン(Charley Patton)、 ブライアンド・レモン・ジャハーソン(Blind Lemon Jefferson)、ブライアンド・ウィリー・マクテル(Blind Willie McTell)、ロバート・ジョンソン(Robert Johnson)などがカントリー・ブルースマンとして知られている。

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〜 シカゴ・ブルース(アーバン・ブルース)
  第二次世界(1939-1945)の間、多くのアフリカ系アメリカ人の南部から北部への移動した。大きな人口移動の中はブルースマンにも影響を与えた。いままで南部で中心に演奏されていたブルースが北部や東部にも浸透していったのだ。こうしてカントリー・ブルースはシカゴ・ブルースに変化した。シカゴ・ブルースは電気化されたギター(エレクトリック・ギター)を使ったことにより音量が一気に大きくなった。

Q10. 南部から北部への移動とはなんですか?一体なぜこのようなことが起きたのですか?
A10. 詳しくは「アフリカ系アメリカ人の歴史」をご覧ください。

 エレクトリック・ギターの登場によりブルースの演奏形態がバンドになった。主な使用される楽器にはハーモニカ、ピアノ、エレクトリック・ギター、ドラム、ベースが上げられる。シカゴ・ブルースも前述した典型的な12小節のコード進行に沿っている。トランペットやサックスがバックバンドに加わることもあった。

  有名なプレイヤーにはハーモニカ奏者のサニー・ボーイ・ウィリアムソン(John Lee “Sonny Boy” Williamson)、ジョン・リー・フッカー(John Lee Hooker)、マディー・ウォーターズ(Muddy Waters)がいる。黒人の大移動によってカントリー・ブルースから発展したシカゴ・ブルースにはギターによる力強いリズムがあった。ブルースはロックン・ロールの誕生に繋がっていく。

>イラスト< ドラムセット
>イラスト< エレクトリックギター
>写真< エレクトリックベース