13番
出典:「後撰集」より
筑波嶺
つくばね
の
嶺
みね
より
落
お
つる みなの
川
がは
恋
こひ
ぞつもりて
淵
ふち
となりぬる
陽成院
ようぜいいん
■口語訳
筑波の嶺から流れてくる男女川という川は、最初はわずかですが、 今では深い淵となっています。
同じように、私のあなたに対する恋心も、今では、最初のころにくらべると、ほら… こんなにも深く深くなっているのですよ。
どうかわかってください…。
■作られたワケ
退位して上皇となった陽成院には、深い思いを寄せている年上の人…
光孝天皇
の第一皇女 すい子内親王がいました。この歌は、彼女に捧げた歌だといわれています。
■作者プロフィール
陽成院(868〜949)
清和天皇の第一皇子。10歳で即位しましたが、病気の為にわずか8年でくらいを
光孝天皇
に譲りました。
病気のために奇行があったようで、内裏の中で闘鶏(とうけい)や馬を飼ったり、「三種の神器」の宝剣を抜いたりなど、多くの説話が伝えられています。