■口語訳
田子の浦の海岸に出て仰ぎ見ると、白い雪をいだいた富士山が、パッと目に飛び
込んできた。 その富士山の高い峰には、今もしきりに雪がふり続けている。 それはなんと美しく、神神しい山の姿
だろう!
■原歌 万葉集について
この4番の山部赤人の歌も2番の持統天皇と同様に「新古今集」の出典ですが、
原歌は「万葉集」です。原歌では、
田子の浦ゆ うち出でて見みれば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
| となっています。「万葉集」は漢字のみで読みにくく、訓点が加えられたらしい
です。歌の印象が異なってくるものですネ。
■作られたワケ
あるとき赤人は上司のお供で東国へ旅にでました。そして駿河の国にはいり、富士
山を見ました。そのときに上司に「帝にお見せできるような富士の歌をつくっておけよ」と言われたので、作られた
のがこの歌です。
■作者プロフィール
山部赤人(?〜?)
奈良時代の初めのころの人で、元明・元正・聖武らの天皇に仕えました。官吏として天皇に従い、吉野や紀伊など
に旅をして、自然を詠んだ歌をたくさん作りました。
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