オフロード車・オフロードバイクとは、山道などの道として整備されていない部分を走る車・バイクの事である。このオフロード車による不法な森林内への侵入が、富士山の特色のひとつでもある「多様な生態系」を壊しつつある。

〜富士山の生態系〜
脱線にはなるけれど、富士山の多様な植物の分布について
富士山では、ふもとから山頂に渡る、暖帯から寒帯までの植物の垂直分布が見られる。
標高1600m以上の地域には、自然のままの環境が残されている。

標高2400m以上
高山帯、高山植物である、イワツメクサ、オンダテなどが咲く
森林限界

標高1600m
火山荒原、亜高山性針葉樹林帯がひろがる

また、山麓部に位置する青木ヶ原樹海など溶岩(マグマが冷えて固まったもの)でできている場所では、環境開発が進まなかったため、アカマツやヒノキなどの林でできている。火山荒原・溶岩地帯は非常に地質が安定していないため、少しでも環境が変化すると生態系が壊れてしまう。

現在、富士山への不法なオフロード車・オフロードバイクの乗り入れが増加し、植物の生態系の破壊が進み、問題となっている。

オフロード車・バイクは植物を踏み荒らすだけでなく、富士山の火山灰土の場合はタイヤでつけられた跡の部分から中の土が崩れてしまう。それがもろい火山灰土の場合は他の山々の土と比較するととても崩れやすく、植物の自生による復元はしにくい。それだけでなく、オフロード車・バイクにより不法に車両での山への侵入をした人の中には、キャンプファイヤーなどの薪として、近くに生えている木を削り取ったり、チェーンソーで切り倒そうとしたり人さえいて、問題はさらに悪化していくのである。

また、壊れやすい生態系・樹齢何万年という大木などは、希少価値をも生み、不法な伐採がふえている。

また、最近では買えなくなったペット、ひよこなど動物を富士山中、周辺の森林に不法投棄していく人たちもいて、それらの動物が植物の食い荒らしを行い、生態系が崩れるケースがある。また釣り針などのゴミを山中に置きっぱなしにすることにより、それを山に生息する鳥などの動物が誤って食べてしまい、倒れているなどの被害も多い。これらのことは、山の生態系の崩壊につながっていってしまう。山中湖のオオハクチョウも最近ではそれらの被害にあい、数が減少していっているようだ。

B    オフロード車問題・伐採 〜植生林の破壊〜