この条約によって、アメリカ軍に施設や地域を提供する具体的な方法が定められたほか、その施設内での特権や税金の免除、兵士などへの裁判権などが与えられています。
またアメリカ軍の兵士・軍人などについても一応は日本の法律を守るよう義務付けられていますが、同時に旅券(パスポート)やビザについては不要、軍発行の運転免許証で国内を走行できるなど、数々の特権が与えられています。
上のような問題点は、どうやらアメリカと日本の間だけの問題ではないようです。
アメリカ軍は世界のさまざまな国に基地を作って駐留しています。そのため、アメリカはそのような国々とも日本と同じような地位協定を結んでいます。
そんな中、日本以上にアメリカとの関係が深いNATO(北大西洋条約機構)との地位協定では、やはり、日米地位協定と同じく、「起訴後に引渡し」となっています。
そのほか、様々な国との地位協定を見ても、日本との協定は、まだ条件が良いほうだそうです。
と、ここまで考えると、アメリカが日本のみに譲歩して地位協定を見直す、ということはありえない、と考えられます。
日米地位協定をめぐる問題はまだまだ解決しそうにありません。
地位協定第17条には、アメリカ軍兵士・軍人への裁判権がどこにあるのかが決められています。
17条の3という条文では、アメリカ軍の内部での犯罪やアメリカ軍兵士・軍人や関係者、家族同士の犯罪の場合、アメリカ軍に優先的な裁判権があることになっています。
またアメリカ軍の公務中、つまり兵士・軍人として働いている最中の犯罪・事件などについてもアメリカ軍に優先的な裁判権があることになっています。
しかし、これは裁判権の話で、行政機関である警察や検察が行う「捜査権」については、決まりがありません。
地位協定17条の5には、そういう場合日本とアメリカ軍が相互に援助しなければならない、としか定められていません。例えば、米軍兵士を捜査するため、逮捕などによって身柄を確保しなければならない場合、日本の警察などがただちに容疑者の兵士を逮捕することはできないのです。
そして一番問題とされているのが、17条の5(c)という条文にある規定です。
ここでは、犯罪をおかしたアメリカ軍兵士などの日本への身柄の引き渡しは、検察による起訴が行われた後、というふうに定められています。
こうした問題点は、アメリカ軍兵士犯罪への日本側の捜査が満足にできないでいる原因でもある、という批判が絶えません。
太平洋戦争での敗戦後、1945年から日本は米軍を中心とする連合軍によって占領されていましたが、この占領は1951年、サンフランシスコ平和条約が結ばれたことによって終了します。
このときに日米安全保障条約が結ばれ、占領終了後も日本にそのまま米軍が残ることになりました。
つまり、日米安全保障条約は在日米軍基地の発端といってもよいでしょう。
その際、アメリカ軍やアメリカ軍の軍人・兵士らが日本で法律的にどのような地位でいるのかが問題になるわけで、それを定めた協定として日米行政協定が結ばれました。
その後、1960年、日米安保が改正されたとき、日米行政協定は日米地位協定として正式に条約化し、現在にいたっています。
第六条には、基地についてこのように記されています。
つまり米軍が日本を使用することを許可している、ということです。
これについてもっと詳しく記してあるのが、次に説明する「日米地位協定」です。
第六条(基地の許与)
1 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持の寄与するため、アメリカ合州国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
2 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合州国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合州国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。
簡単に言うと、
経済面では,
「日米両国ともに経済的協力を推進、協調してやっていく」こと]
政治面では
「アメリカが日本と共に、日本の領土及び極東の安全を守り、そのために日本がアメリカに基地を提供する」こと
を定めたものです。
※出典※
(○…HP ◇…書籍)
○AllAbout(【日米地位協定】とは何か)
(http://allabout.co.jp/career
/politicsabc/closeup/
CU20010710/)
◇情報公開法でとらえた在日米軍